米投資会社ブラックストーン傘下のQTSは、バージニア州で計画していた2100エーカー(約850ヘクタール)規模のデータセンターキャンパスのうち、自社が担う部分の建設を断念した。長年にわたり計画阻止を目指してきた住民側の勝利となる。

南北戦争の史跡に隣接し、従来は開発が制限されていた土地での計画は、住民の強い反対や訴訟で長年停滞していた。プロジェクトの用地面積は、ニューヨーク市のセントラルパーク2つ分に相当する。

Photographer: Joe Raedle/Getty Images

事情に詳しい関係者によると、QTSは裁判を続ける価値はないと判断した。代理人は早ければ今週中にも裁判所へ決定を伝える予定だという。ブラックストーンの広報担当者はコメントを控えた。QTSにコメントを求めたが、現時点で返答は得られていない。

今回の撤退は、約1000億ドル(約16兆1100億円)の支出を呼び込み、世界有数のテクノロジー集積地を目指した「デジタルゲートウェイ」計画にとって新たな打撃となる。5月にはプライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社ブルックフィールド傘下のコンパス・データセンターズも、同計画から撤退しており、両社の相次ぐ撤退は大規模データセンター開発として異例の事態となった。

背景には、AI向けデータセンター建設を巡る電力不足やサプライチェーン制約に加え、送電網への負荷や住宅価格への影響を懸念する住民の反対が強まっている事情がある。バージニア州はデータセンター向けのエネルギー消費税を導入し、他州でも新規開発の規制強化が検討されている。

データセンター自体の課題に加え、そのコストを誰が負担し、恩恵を誰が享受するのかという問題は、米中間選挙を控えた主要な争点となりつつある。こうした障害は、AI向けインフラ整備が現在のペースを維持できるのかという疑問を、投資家に突きつけている。

住民側は約5年にわたり、地元政治家への働きかけや訴訟を通じて計画に反対してきた。2023年には27時間に及ぶ公聴会を経て、郡当局が土地の用途別ゾーニング変更を承認したが、公聴会の告知が州法などの要件を満たしていなかったことを理由に訴訟が起こされた。

バージニア州裁判所は今年3月、公聴会の告知手続きに不備があったとして、ゾーニング変更承認を無効とする判断を支持した。

コンパス・データセンターズのA.J.バイヤーズ社長は判決後、「この計画は地域や近隣住民に大きな利益をもたらすと、今なお考えているが、最近の法的措置と規制上の障害によって、実現可能な道筋は事実上閉ざされた」とコメントした。

コンパスの撤退後はQTSだけが州最高裁への控訴を続けていた。関係者によると、インフラ整備費用を分担する相手を失ったこともあり、QTSもプロジェクト継続を断念した。

2021年にQTSを買収したブラックストーンは、データセンター分野でも最大級の投資会社であり、世界で保有するデータセンター資産の価値は1500億ドルを超える。6月末には、バージニア州北部のデータセンター3施設の持ち分を35億ドルで売却すると発表した。

原題:Blackstone’s QTS Abandons Massive Data Center in Virginia(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.