今年上半期(1-6月)の円安を要因とする企業倒産件数が、2022年以降で最多となった。円安がもたらす日本経済への負担拡大が改めて浮き彫りとなった。

東京商工リサーチが1日発表したリポートによると、上半期の「円安」倒産は45件と、前年同期比32.3%増となった。円安関連の倒産が集計され始めた22年以降で最も多い件数となった。

今回の結果は、日本の雇用の大半を支える中小企業が長引く円安への対応に苦慮している実態を示している。輸出企業が円安の恩恵を受ける一方で、日本経済には影を落としている。

円安は日本銀行の追加利上げを後押しする材料になり得る。利上げにより日米金利差が縮小すれば、円相場を下支えする可能性があるためだ。一方、借り入れコストの上昇は企業倒産を増やす要因にもなりかねない。

円安の背景には、米国でコロナ禍後のインフレを抑えるため利上げが行われた一方、日本ではデフレ脱却を目指してマイナス金利政策が続いたことがある。日米金利差はその後縮小したものの、ドル高の進行やイランでの戦争に伴う原油高が円安に拍車をかけている。

1日の外国為替市場では円が対ドルで一時162円84銭まで下落し、1986年12月以来の安値を更新した。円安は輸出企業の収益を押し上げる一方、輸入コストが上昇し、輸入依存度の高い幅広い業種で利益率を圧迫している。

東京都心の風景

中東情勢も企業のコスト負担を押し上げている。中小企業基盤整備機構が6月30日発表した「中小企業景況調査」によると、4-6月期の原材料・商品仕入単価DIが全産業で78.1と、1-3月期の66.5から上昇した。企業物価指数もここ数カ月で大きく上昇している。

東京商工リサーチによると、上半期の円安倒産は特に卸売業で目立った。リポートでは、当面は円安に伴う物価高が高値安定するとみられ、価格競争力の弱い卸売業、小売業、製造業を中心に、円安倒産はしばらく高水準で推移するとみている。

こうした負担は、とりわけ中小企業で深刻だ。大企業に比べて借り入れコスト上昇の影響を受けやすく、慢性的な人手不足を背景に賃上げ圧力も強まっている。競争が激しいため、コスト増を販売価格に転嫁する余地も限られる。

東京商工リサーチ情報本部の坂田芳博課長は「円安は一因」とした上で、「物価高プラス人件費上昇のような形で複合的に重なる」との見方を示した。

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