暗号資産(仮想通貨)のビットコインは6月30日に6万ドルを再び割り込み、下げ率が一時3.5%に達した。その後は5万8000ドル台で推移している。ビットコインの最大級の買い手、米ストラテジーによる資金調達モデルの見直しについて、投資家は当初好感したものの、その後見方を一転させた。同社が、今後も安定した需要源となり続けるのかを巡り、新たな懸念が浮上している。

共同創業者のマイケル・セイラー会長率いるストラテジーは29日、ビットコイン戦略を支える資本構成について大幅な見直しを発表した。これを受け、同社株は30日に6%下落し、29日の上昇分の半分を失った。

投資家は当初、自社株買いと現金準備拡充という同社の方針を歓迎したが、焦点はすぐに、今後はビットコインの売却もあり得るという同社の柔軟な対応と、絶え間ない積み増しよりもバランスシート管理を優先する姿勢に移った。

今回の発表は、同社の資金調達モデルを巡る議論に決着を付けるどころか、新たな論点を浮上させた格好だ。長年にわたり、同社が資金を調達すればビットコインを追加購入すると投資家はおおむね想定できた。経営陣は今後、ビットコインの購入について、流動性の確保や割安な証券の買い戻し、バランスシート強化など、他の資金使途との優先順位を踏まえて判断する方針を明確にした。

ビットコインが再び下落基調を強めている背景には、テクニカル面の悪化もある。ビットコインは今年に入り、市場が注目するチャートパターンを下抜けた後、重要な上値抵抗線を超えられていない。足元では年初来安値をうかがう展開となり、システマティック投資家やモメンタム投資家による売りが続くリスクが高まっている。

ミラー・タバックの市場戦略責任者、マット・メイリー氏は「ビットコインのテクニカル面は最近、非常に弱い」と指摘。「1-3月(第1四半期)に8万ドル近辺で三尊天井(ヘッド・アンド・ショルダー)の支持線(ネックライン)を下抜け、その後、春にその水準を上回ることができなかった。今は年初来安値をわずかに下回りつつある。さらに安値を切り下げれば、テクニカル面では極めて弱気な材料となる」と述べた。

ビットコインは、昨年付けた12万6000ドル超のピークから、既に価値の半分余りを失っている。

メイリー氏は「この状況に、ストラテジーがビットコインをさらに売却するとの発表が重なるなど、暗号資産への信頼は大きく薄れつつある」と述べた。

投資家は暗号資産関連の投資全般から逃避し、ビットコインの価格に連動する仕組みの上場投資信託(ETF)から資金を引き揚げている。ブルームバーグがまとめたデータによると、ビットコイン現物ETFは年初来で51億ドル(約8300億円)超の資金流出となっている。24年初めの設定後に旺盛な資金流入が続いた時期から一変した。ブラックロックのiシェアーズ・ビットコイン・トラストETF(IBIT)からは6月に30億ドル超が流出しており、月間として過去最大の流出となる。

ブルームバーグ・インテリジェンスのジェームズ・セイファート氏が、ビットコインを巡る最大規模の機関投資家需要が同時に揺らいでいる状況について解説。

市場を注視し、反転を期待する向きにとって、これは懸念材料となっている。初期の資金流入の多くは個人投資家によるもので、暗号資産市場では長く個人の存在感が大きかった。足元では、押し目買いを狙う投資家層が一段安に備え、様子見姿勢を強めている兆候がある。

FRNTフィナンシャルのステファン・ウエレット最高経営責任者(CEO)は、月末のリバランスとオプション満期によりボラティリティーが増幅されており、今週後半に取引量が細ればボラティリティーが一段と高まる可能性があると指摘する。同CEOは「ビットコインの真の短期的な方向性は、リバランス終了後、そして7月初めの主要市場の休場を過ぎた後に、より明確になる可能性が高いとみている」と述べた。

原題:Bitcoin Slides Below $60,000 as Strategy Selloff Refuels Anxiety(抜粋)

--取材協力:Isabelle Lee.

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