(ブルームバーグ):グーグルの親会社である米アルファベットは、この12カ月間、ほぼあらゆる指標で目覚ましい成果を上げた。
投資家が同社のAI能力の強化を評価する中、株価は2倍余り上昇し、時価総額は2兆ドル(約325兆円)以上増加した。時価総額は4兆3000億ドルに達し、現在世界で2番目に価値の高い企業となっている。
しかし、ここにきて不思議なことが起きている。アルファベット株がここ数カ月、苦戦している。6月は月間ベースで6%下落し、過去5カ月のうち4カ月でマイナスとなった。年初来では14%高を維持しているものの、2025年の65%高には及ばず、今年に入り20%上昇しているナスダック100指数も下回っている。
クオンツ調査会社マネーフローズのチーフ投資ストラテジスト、アレック・ヤング氏は、「これはAI相場の移ろいやすさを如実に示している。ほんの1、2カ月前までアルファベットはスター的存在だった」と指摘した。
アルファベットはAIモデル「Gemini(ジェミニ)」の成功や自社チップの人気を背景に、依然としてAI分野の主導的企業だ。しかし市場では、AIに巨額投資を行う企業から、その資金の多くを受け取る半導体メーカーへと資金がシフトしており、同社株もその流れに巻き込まれている。6月初旬には、設備投資資金を賄うため、株式売却で約850億ドルを調達する計画を発表し、これが株価の重しとなった。さらに、主要なAI研究者が競合他社へ移籍するなど、人材流出も相次いでいる。
ヤング氏は、「市場の関心は、AIによる成長がすぐに見込めるインフラや半導体関連企業へと移っている一方、巨額の設備投資を行う企業はペナルティーボックス入りしている」と指摘。「さらに、重要な人材が流出しているように受け止められれば、それも新たな打撃となるだろう」と述べた。

ただ、株価が苦戦しているAI投資企業はアルファベットだけではない。ブルームバーグのマグニフィセント7指数は今年に入って1.7%下落し、約10%上昇したS&P500種株価指数を大きく下回っている。それでも今年のマグニフィセント7銘柄の中でアルファベットは堅調だ。
モルガン・スタンレーのアナリスト、ブライアン・ノワク氏は6月29日付の顧客向けリポートで、「アルファベットのファンダメンタルズと2027年、2028年の見通しは改善している」と指摘。「AI分野で最も有利な立場にある企業の一つを買う好機」を生み出しているとして、目標株価を375ドルから415ドルへ引き上げた。
ジェンセン・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、アレン・ボンド氏は、「どれほどの投資が必要になるのかという不透明感に加え、その投資を続けるために既存株主の持ち分が希薄化する可能性もある」と指摘した。
もっとも、長期投資家にとってはアルファベットの買い場とも捉えられる可能性があると、マトリックス・アセット・アドバイザーズのデービッド・カッツ最高投資責任者(CIO)はみている。
カッツ氏は、「問題は、どの企業が勝者となるのか、そして資金が責任を持って使われているかどうかだ」とした上で、「われわれは、グーグルが勝ち組の一社になると確信している。また、同社が資金を責任を持って活用していることについても強く確信する」と語った。
原題:Alphabet’s $2 Trillion Gain Turns ‘Rock Star’ Into Question Mark
(抜粋)
--取材協力:Subrat Patnaik.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.