世界の中央銀行が3年ぶりに、長期的に米ドルへのエクスポージャーを縮小する方針を示していることが、英国のシンクタンク「公的通貨金融機関フォーラム(OMFIF)」の調査でわかった。

OMFIFのリポートによると、こうした「脱ドル化」の方向性が、公的年金基金や政府系ファンドでも共有されている。ユーロと人民元が米ドルに代わる魅力的な選択肢とみられており、「先進国はユーロを、新興国は人民元を選好している」としている。

アンドレア・コレア氏、ヤラ・アジズ氏らOMFIFのチームは「分散投資の模索が、現在の外貨準備運用の中心的な特徴となっている」と記した。

チームによると、世界の政策金利は引き続き短期的な投資判断の主な要因だが、地政学リスクが長期的な外貨準備運用戦略に与える影響が増している。昨年以降、こうしたリスクには貿易摩擦だけではなくイラン戦争も加わり、運用担当者らは保有資産の構成見直しを進めている。

国際通貨基金(IMF)が四半期ごとにまとめたデータによると、外貨準備に米ドルの占める割合は2025年10-12月期(第4四半期)時点で約57%と、近年はおおむね横ばいで推移しているが、ピークだった1970年代の85%超を大きく下回る。

リポートによると、中央銀行は10年後の平均的な外貨準備ポートフォリオについて、ドル建て資産が52%、ユーロ建て資産が23%、人民元建て資産が5%を占めると予想している。OMFIFは3月から5月にかけ、合計10兆ドル超の外貨準備資産を運用する90の機関を対象に調査した。

リポートは、中央銀行や公的年金基金、政府系ファンドは、ユーロや人民元への魅力を感じているものの、いずれも米ドルに並ぶ基軸通貨になるには根本的な課題を抱えていると指摘した。

そのため、外貨準備運用担当者の79%が、「世界の金融システムは多極化へ移行しつつあり、その結果、国際通貨システムの分断や不確実性が高まる」と回答した。また、こうした認識は金への需要にもつながっており、OMFIFは金をこうしたリスクの「最も明確な恩恵を受ける資産」と位置付けた。

OMFIFは、金について「短期的な購入意欲で最も高い地位にあり、地政学リスクや国際通貨システムへの懸念に対するヘッジ手段として、外貨準備戦略の中心に位置付けられるようになった」と述べた。調査対象となった中央銀行の82%が現物の金を保有しており、前年の71%から上昇したという。

OMFIFの調査対象者の55%が、ユーロについて「欧州連合(EU)が恒久的かつ大規模な債券発行を行えば、ユーロ建て外貨準備資産の保有意欲が高まる」と回答した。一方で、人民元については、中国の市場構造が十分に発達していないという課題と、人民元へ分散投資する利点を見極めようとする声が多かった。

OMFIFのチームは「ドルは引き続きポートフォリオの中心で、安全性と流動性の面で他に代わるものはないと考えられている。だが、特に新興国を中心に、中央銀行は短期・長期の双方でドル資産の配分を減らすと見込んでいる」と付け加えた。

原題:Central Banks Plan to Reduce Dollar Holdings, Survey Says (1)(抜粋)

--取材協力:Wenjin Lv.

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