(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)のシュナーベル理事は、米国とイランの和平合意によりホルムズ海峡の通航が再開される中でも、物価圧力が想定以上に強まる可能性があると指摘した。
同氏はドイツ・ケーニヒスウィンターで開かれたイベント、「ペータースベルク夏季対話2026」でのプレゼンテーションで27日、「食品、財、サービスのインフレには上振れリスクがある」と指摘。「エネルギー価格ショックが、より広範なインフレに波及する可能性がある」と述べた。
プレゼンテーション資料は、インフレ率を2%に戻すには現時点で追加利上げが必要だとした、同氏による最近の発言を裏付ける内容だ。米国とイランの和平合意の見通しを受けた最近のエネルギー価格下落を歓迎する一方、攻撃停止を理由に警戒を緩めるべきではないとした。
同氏は「不確実性は高いままだが、発表された和平合意により悪いシナリオの可能性は低下した」と説明。それでも、「ホルムズ海峡の再開は緩やかに進む」ため、原油価格は「高止まりが続くと予想される」と述べた。

同氏はECB政策委員会メンバーの中で最もタカ派的とみられており、「ECBは中期的にインフレ率を2%に戻すため、さらなる利上げを行う見込みだ」と改めて示した。「消費者のインフレ期待が上昇した」一方、「賃金圧力はまだ見られない」とした。
ブルームバーグの調査によると、ユーロ圏の6月インフレ率は3.0%と、5月の3.2%から鈍化した可能性が高い。データは今週発表される。アナリストは、エネルギーと食品を除くコアインフレ率が2.6%にとどまり、ECBの目標を大幅に上回ると予想している。ECB当局者は今月、ショックをもはや一時的なものとして見過ごせないと判断し、利上げに踏み切った。
シュナーベル氏のプレゼンテーションでは、以下の点も示された。
- 「エネルギーショックはユーロ圏に特に大きな打撃を与えたが、過去の原油価格ショックほどではない」
- 「ECBのスタッフは、イラン戦争によりユーロ圏の成長率が低下し、インフレ率は上昇すると予測している」
- 「エネルギーコスト上昇が信頼感と個人消費の重しとなっている」
- 「エネルギー価格上昇には波及効果があり、サプライチェーン圧力によって増幅されている」
- 「生産者は投入価格上昇の一部を転嫁しており、特に製造業で目立つ」
- 「政府投資と世界的なAIブームが成長を支えている」
- 「労働市場は底堅さを保っており、労働需要は冷えつつあるが、供給は逼迫(ひっぱく)している」
- 「リスク資産のバリュエーションの割高感とレバレッジ拡大により、金融安定リスクが高まっている」
原題:ECB’s Schnabel Sees Upside Inflation Risks Despite Peace Deal(抜粋)
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