(ブルームバーグ):米連邦最高裁は、連邦準備制度理事会(FRB)理事の解任と、米国で生まれた子供に原則として国籍を与える「出生地主義」の見直しという、トランプ大統領が目指す大胆な施策を巡り、合憲かどうかの判断を下すと見込まれている。
最高裁は今週、今会期最後となる7件の判決を言い渡す予定で、この二つの案件についても判断を示す見通しだ。トランプ氏は米国内で生まれた子供は自動的に米国市民となるという出生地主義と、中央銀行である連邦準備制度の独立性という、長年にわたり米国を支えてきた基本原則の見直しを目指している。
最高裁判事は、米東部時間29日午前10時(日本時間同日午後11時)を皮切りに、少なくとも2回入廷し、判決を言い渡す予定だ。例年通り、会期末に残された案件はいずれも重要性が高く、論争を呼ぶ内容となっている。
FRB理事解任目指す取り組み
トランプ氏は、住宅ローン契約を巡る詐欺疑惑を理由にクックFRB理事を解任しようとしている。クック理事は疑惑を否定し、トランプ政権を相手取り提訴した。
最高裁が今回判断するのは、クック理事が解任の適法性を争っている間、大統領による同氏解任が認められるかどうかに限られる。ただ、この訴訟の判断は、米金融当局が金利を決定する上での独立性に広範な影響を及ぼす可能性がある。
トランプ氏が勝訴すれば、自身の利下げ要求に応じなかった他のFRB理事を解任する道が開かれる可能性がある。大統領が理事を解任して後任を指名することで、中銀の体制を再編できるようになる可能性もある。
トランプ氏はこれまで、パウエル前FRB議長を解任したい考えに公然と言及してきた。パウエル氏は議長としての任期満了後もFRB理事として留任している。
最高裁判事らは1月の口頭弁論で、クック理事が政権による解任理由を争い、解任処分に異議を申し立てる機会を得る前に、トランプ氏による解任を認めることには消極的な姿勢を示唆していた。
シカゴ大学のウィリアム・ボード教授(法学)は今月、記者団との電話会見で、「最高裁は政権側に不利な判断を下す可能性が高いように見受けられる」と述べた。一方で、判断の前提となる法的論点について、最高裁がどこまで踏み込んで見解を示すかは明らかではないとの見方も示した。
なお、最高裁は2月20日、トランプ政権が1977年国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠に日本を含む広範な国・地域に課した関税措置について違憲の判断を下した経緯がある。
出生地主義
出生地主義に基づく市民権を巡る訴訟も、トランプ氏にとってクック理事の訴訟に続く二つ目の打撃となる可能性がある。トランプ氏は、米国憲法修正第14条と二つの連邦法が、米国内で出生したほぼ全ての子供に米国市民権を保障しているという長年の法解釈の見直しを最高裁に求めている。
トランプ氏の大統領令は、出生地主義に基づく市民権の付与を少なくとも父母のいずれかが米国市民またはグリーンカード(永住権)保持者である子供に限定する内容となっている。この措置により、不法移民や一時滞在者の下に毎年生まれると推計される25万人の子供が影響を受ける。
4月の口頭弁論では、子供の米国籍取得を目的に渡米・出産する「バースツーリズム」の広がりによって、従来の憲法解釈を覆すような「新しい世界」が生まれたとする政権側弁護士の主張をロバーツ最高裁長官が一蹴した。ロバーツ長官は「確かに新しい世界かもしれない。しかし、憲法は同じだ」と述べた。
原題:Supreme Court Leaves Trump’s Fed, Citizenship Gambits for Last(抜粋)
--取材協力:Christopher Cannon.
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