(ブルームバーグ):政府は近く策定する経済財政運営の指針「骨太の方針」で、高市早苗政権が目指す「強い経済」の実現に向け、「適切な金融政策運営が行われることも非常に重要」との文言を明記する方針だ。金融政策を所管する日本銀行に対し、政府の方向性に歩調を合わせることを改めて求める。
ブルームバーグが骨太の方針原案を入手した。日銀による「適切な金融政策運営」を巡っては、昨年の方針にはなかった「非常に重要」との文言が加わった。今後の議論で原案が修正・変更される可能性もある。
中東情勢の混乱に伴う原油高や円安を背景に物価高が続く中、日銀は16日の会合で政策金利を31年ぶりの水準に引き上げた。利上げ継続方針を維持するとともに、基調的な物価上昇率が2%物価目標から上振れていくリスクにも言及しており、市場では追加利上げの時期やペースに注目が集まっている。
政府はこれまでも日銀に対し、経済情勢に応じた適切な金融政策運営への期待を繰り返し示してきた。
高市首相は22日の国会答弁で、「日銀には政府と密接に連携を図り、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現に向けて適切な金融政策運営を行うことを期待している」と述べた。日銀の利上げ判断を尊重しつつ、今後も政府の政策と整合性を保ちながら政策運営を図るよう求めた形だ。
城内実経済財政担当相も16日の日銀決定会合出席に先立つ会見で、適切な金融政策運営を行うことを「強く期待している」と述べていた。
ブルームバーグが6月会合後の17日に実施した緊急のエコノミスト調査では、次の利上げ時期の予想の最多は12月の52%で、次いで10月が36%となった。9月の2%と合わせ、年内利上げの予想が90%を占めた。
骨太の方針原案では高市内閣の財政運営について、投資不足の流れを断ち切るため「政府が一歩前に出て、官民手を携え戦略分野への投資を進める」と強調した。財政の単年度主義の弊害を是正し、予算の作り方を根本から改めるとも盛り込んだ。
政府は24日、40年度までに戦略17分野に累計370兆円超の官民投資を行うとする工程表を示した。市場では財政運営に対する不安が高まりやすく、インフレに対して日銀の利上げが後手に回る「ビハインド・ザ・カーブ」の懸念が再燃する可能性もあるとの声が出ている。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、骨太の方針について、日銀の金融政策運営の協力が言及されるとの報道があり、利上げが遅れるとの連想にもなるとの見方を示した。
PBの一時的悪化も許容
原案は2027年度から40年度までを「責任ある積極財政」に基づく「中長期経済財政計画」の期間とし、危機管理投資・成長投資を推進する方針を掲げた。
財政運営の目標については国・地方の総債務残高対国内総生産(GDP)比の安定的低下を中核として位置付けた。基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)は複数年で管理するとし、景気動向などに応じて「一時的な悪化」も許容し得ると明記した。
予算編成では債務残高対GDP比を安定的に引き下げていく中でも可能となる財政規模を精査し、市場の信認確保に配意しながら通年の国債発行額を具体化するとした。財政運営について、国民や国内外の市場関係者に透明性が高く、一貫した説明を行うとした。
骨太の方針の内容について内閣府の担当部局に電話でコメントを求めたが、29日午前11時の時点で返答を得られていない。原案については、共同通信などが先に報じていた。
(原案の財政運営に関する記述を追加して更新します)
--取材協力:松井玲、船曳三郎、照喜納明美.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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