(ブルームバーグ):アジアの消費者は今後数カ月にわたり、食料品価格の上昇に直面することになりそうだ。イラン戦争で食品輸送に必要なプラスチックが不足し、包装資材のコストが高騰しているためだ。一部企業が負担を価格に転嫁し始めている。
世界の食品価格指数はすでに約3年ぶりの高水準に近づいており、さらなる上昇は、ガソリン価格の高騰にも直面している家計の負担を一段と重くする恐れがある。
主な要因は、ホルムズ海峡がほぼ封鎖状態になったことにある。主にアジア向けのエネルギー輸送が滞り、プラスチックの原料となる石油製品であるナフサの供給も制限された。2月末に始まった戦争を終結させる恒久的な合意に向けて進展はみられるものの、供給が戦前の水準に戻るには時間がかかる可能性が高い。
ベトナムのミンフー・シーフードの国際貿易部門を統括するグエン・ホアン・リエム氏によると、イラン戦争開始以降、プラスチック包装のコストは約50%上昇した。同社は「エビ王」の異名を持つ国内最大の輸出業者。現在はコスト増を自社で負担しているが、いずれは値上げに踏み切る計画だという。
マレーシアのファーム・フレッシュは、一部乳製品をすでに値上げしている。モハド・カイルル・マット・ハッサン最高財務責任者(CFO)によると、同社は2023年以来となる値上げを今月実施した。こうした包装材の供給混乱は同社の17年の歴史で初めて。代替品を探し回る中で、より小型の紙製カートンの使用を余儀なくされたという。
同CFOは、「当社のプラスチックボトル供給業者3社は、中東からナフサを調達するHDPE樹脂メーカーに依存している」とし、消費者の好みが問題を深刻化させているとも指摘。「多くの人は依然としてプラスチックボトルを好んでいる。持ちやすく、丈夫で、多くの消費者にとっては味も良く感じられるからだ」と話す。
主なナフサ輸入国である日本と韓国は、不足分を補うため他国からの追加調達を迫られており、輸入コストの上昇は地域の製造業者にも波及している。マレーシアとシンガポール向けのプラスチック容器を製造するチャイ・ヘン・プラスチック・マニュファクチャリングは、一部の製品価格を最大20%引き上げた。
日本では、鶏卵パック最大手の栗原製作所が今月値上げに踏み切った。広報担当者によると、通常では考えられないような調達コスト高の中で安定供給を維持した後の値上げだったという。
タイの米産業も影響を受けており、タイ米包装業協会によると、包装コストは最大40%上昇した。同協会のヨンユット・プルクマハダムロン会長は、「これまでは米の包装業者がコスト増を背負ってきたが、いつまで耐えられるか分からない」と話す。
オーストラリア北東部では、昨年約20万箱のメロンを日本へ輸出したデイントリー・フレッシュが、雑草抑制に使うプラスチックシートの価格上昇に苦しんでいる。ディレクターのショーン・ジャクソン氏によると、燃料や肥料のコストも上昇している。
同氏は「大打撃を受けている」と語り、総コストは今年、最大で50%アップする可能性があると試算する。「日本からの引き合いは強い。にもかかわらず、今年はコストが高すぎるため、日本向けに生産できないと、日本に行って伝えなければならなかった。本当に残念だ」と話す。
原題:Plastics Crunch to Keep Food Prices High After War Disruptions(抜粋)
--取材協力:Nicholas Lua、Patpicha Tanakasempipat、石川英瑠.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.