(ブルームバーグ):暗号資産(仮想通貨)のビットコインは24日、一時5.4%安の5万9023ドルと、2024年10月以来の安値を付けた。昨年10月に付けた過去最高値からは約50%下落している。
ビットコインは長年、個人投資家の投機の場という評判を払拭しようとしてきたが、今回の売りでその代償が浮き彫りになった。大手機関投資家の関与が広がり、市場規模が拡大し、信頼性も高まった一方、かつて急落局面を吸収した個人の買い手はほぼ姿を消している。
今回の下落局面は、過去の暗号資産売りとは異なる。ドイツ銀行によれば、新たな個人の買い手層がほぼ枯渇する中、機関投資家の需要も勢いを失い始めたためだ。多くの投資家は現金に逃避するのではなく、AI関連投資に資金を振り向け、デジタル資産から資金が流出している。
同行の調査アナリスト、マリオン・ラブーレ氏は価格を左右する買い手について、「もはや個人投資家ではなく、上場投資信託(ETF)の資産配分担当者や企業の財務部門だ。しかも、同じ投資家がビットコインとAIを比較検討するケースが増えている」と指摘。「こうした参加者が撤退したり、別の資産に資金を移したりすれば、下落は過去に個人投資家が主導していたサイクルより速く、資金フローに沿って進みやすい」と述べた。

資金のシフトは、米連邦準備制度が一段とタカ派的な姿勢を取る中で起きている。一部のエコノミストは、年内に2回の利上げを見込む。この変化は、近年リスク資産を支えてきた流動性の追い風を反転させる恐れがある。
ラブーレ氏によれば、投資家はビットコイン連動型ETFから60億ドル(約9700億円)超を引き揚げた。24年以来最長の連続流出となった。ETF需要はビットコイン価格の主要なけん引役になっており、かつてETFへの資金流入がビットコインの上昇を加速させたのと同じように、今回の流出は下落を増幅しているという。
市場が悪材料に反応する仕組みも変わりつつある。ビットコインに積極投資する米ストラテジーが今月初めに32ビットコインを売却したと開示したことで、レバレッジの高い企業保有者がいずれ買い増しから売却に転じるとの懸念が再燃した。ストラテジーによる売却は22年以来初めてだった。保有量全体に占める売却の割合はわずかだったが、象徴的な意味を持った。
同社はその後、購入を再開したものの、ドイツ銀行はこの一件で、機関投資家の行動に対する市場の感応度が高まっていることが浮き彫りになったとみる。
ラブーレ氏は「ビットコインは現在、ストラテジーの平均取得価格である7万5699ドルを下回って取引されており、市場は、レバレッジをかけて保有する企業が売却を迫られる可能性を織り込み始めている」と指摘。「この問題は当面残るとみている」と述べた。
同行はまた、暗号資産から流出した資金が待機資金になるのではなく、新たな行き先を見つけつつあると指摘する。米国の大手ハイパースケーラーは今年、AIインフラに7000億ドル超を投じる見通しだ。この資金シフトが一時的ではなく構造的なものだと判明すれば、暗号資産需要への重しは過去の下落局面より長引く可能性がある。
ラブーレ氏は「暗号資産と成長株は、上昇余地の大きい高ボラティリティー資産を求める同じ投資家層に支えられている。このため、信頼感が低下すると、こうした資産全体で同時に持ち高が圧縮される」と述べた。
その結果、ビットコイン市場は個人投資家の熱狂よりも、ポートフォリオ配分に左右される構造になっている。機関投資家の関与拡大でビットコインは主流に押し上げられたものの、個人投資家の参加が停滞する中、価格は機関投資家の資金フロー、マクロ経済見通し、投資資金を巡るAIとの競合に左右される度合いを強めている。こうした投資家が出口に向かえば、市場は一段と影響を受けやすい状態にある。
上昇のきっかけとして、ギャラクシーのデジタル資産担当グローバル共同責任者、スティーブ・カーツ氏は、ホワイトハウスの暗号資産政策を巡る進展に期待する。
市場関係者は、いわゆる「クラリティー法案」に注目してきた。暗号資産業界の大部分について米商品先物取引委員会(CFTC)を主要規制当局と位置付ける一方、デジタル証券については米証券取引委員会(SEC)が監督権限を維持するという内容だ。
ただ、カーツ氏は「現時点では非常に流動的だ。クラリティー法案のような立法については誰もが成立の確率を示したがるものだが、現実には、成立させようとする意思がある一方で、議会日程の制約もある」と指摘。「この二つがせめぎ合っており、当面は微妙な政治的駆け引きに左右されそうだ」と述べた。
原題:Bitcoin’s Retreating Retail Army Exposes Fresh Fragility (3)(抜粋)
--取材協力:Muyao Shen.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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