(ブルームバーグ):欧州の西側を覆っている熱波は今週さらに勢いを増す見通しで、フランス、英国、スペイン、ドイツでは危険な高温多湿の状態が数日間続き、記録的な暑さとなる可能性がある。
フランスでは21日、複数の都市で最高気温の記録を更新した。フランス気象局によると、南西部ピソスで42.2度が観測された。地元知事によると、フランス南西部ジロンド県では21日、熱波により高齢者3人が死亡した。
持続的な高気圧が熱を閉じ込める「ヒートドーム」と、発達しつつあるエルニーニョ現象に支えられた今回の熱波で、広い範囲で混乱が起きている。フランスでは学校が休校となり、スペインではワールドカップ観戦イベントが中止された。
異例の高温は7月まで続く見通しだ。世界で最も温暖化が進む欧州にとって、この状況は始まりに過ぎない可能性がある。アキュウェザーの国際予報責任者ジェイソン・ニコルズ氏は、「この夏はさらに何度も熱波に見舞われる可能性が高い」と述べた。
フランス当局は、熱中症など暑さ関連の通報に対応するため、全国で約25万人の消防士を動員した。また、パリとフランス西部・南西部の広い地域を含む49県に最高レベルの赤色警報を発令した。当局によると、日中の最高気温は25日までに42度に達する見込みだ。
電力価格
長引く熱波は欧州の電力網に大きな負荷をかける見通しだ。
ヴァイサラとコモディティ・ウェザー・グループの分析によると、冷房需要の増加により電力需要は過去最高水準に達すると予想されている。
だが、フランスの原子力発電は、環境規制を守るために出力制限に直面している。フランス電力公社(EDF)は、ガロンヌ川の水温上昇を理由に、ゴルフェッシュ原子力発電所2号機を22日午後11時45分から30日まで停止すると発表した。また、今週は他の原発でも発電出力を抑制する必要が生じる可能性があると警告した。
高気圧の影響で、風力発電量も低迷する見込みだ。需要急増と供給制約が重なり、欧州の電力価格は急騰している。
イーペックス・スポットのデータによると、ドイツの翌日渡し電力価格は、23日午後8-9時の時間帯に1メガワット時当たり545.51ユーロと、2024年6月以来の高水準となる見込みだ。フランスでも同時間帯の電力価格は1メガワット時当たり268.67ユーロまで上昇する見通しで、2023年8月以来の高値となる。
高温警報
欧州の少なくとも6カ国でも、高温警報が発令されている。

フランスでは20日以降13人が溺死しており、フランス民間防衛局は海水浴場や湖での事故に警戒を呼びかけている。マクロン大統領は、熱波への対応を協議するため、新たな政府横断の危機対策会議を22日に招集する予定だ。
鉄道会社SNCFは全国で70本超の列車を運休した。ジャン・カステックス最高経営責任者(CEO)は、高齢者など健康上のリスクが高い人々に対し、鉄道利用を控えるか旅行を延期するよう呼びかけている。
ラジオのフランス・アンフォによると、22日は845校が休校、1800校の小中学校が短縮授業などの特別日程での運営となった。
スペインでは、マドリードのコロン広場で22日に予定されていたサッカー・スペイン代表のワールドカップ戦の公式屋外パブリックビューイングが中止された。同市では最高気温38.9度が観測された。
天気予報によると、高温で晴天の状態が続くことで土壌は乾燥し、植生の水分も失われている。このため、フランスやスペインでは農作物への被害が懸念されるほか、危険な山火事発生条件が整いつつあるという。
英国気象庁によると、今週はイングランド各地で月間最高気温記録が更新されそうだ。ロンドンでは、最高気温が23日に37度、24日に39度に達する見通しという。保健当局は熱波警報を引き上げ、ロンドン、イングランド南部に対し24、25日に最高レベルの赤色警報を発令した。
原題:Europe Heat Wave Intensifies With France and UK on Red Alert (1)(抜粋)
--取材協力:Laura Millan.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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