サウジアラビア通貨庁(SAMA、中央銀行)がここ数カ月に、少なくとも2社の世界的な資産運用会社から数十億ドル規模の資金を引き揚げていたことが分かった。世界有数の巨額資産を管理する同中銀が、投資先の選別を強化している兆候とみられる。

事情に詳しい複数の関係者によると、資金の引き揚げはイラン戦争が始まる前から進められていた。今年に入って実施された資産運用会社1社のパッシブ型インデックス連動ファンドからの数十億ドル規模の引き揚げも含まれるという。関係者は匿名を条件に話した。

同中銀は少なくとも一部の資金について、より高い運用成績を上げている戦略に再配分した。運用会社1社から引き揚げた資金の一部は流動性の高い債券商品に再投資されたと、関係者らは述べた。

数千億ドル規模の資産を運用する同中銀は、サウジアラビアの主要な外貨準備管理機関としての役割を担う。投資ポートフォリオは元本保全と金融安定の維持を目的に、高流動性および低リスクの世界資産で構成されている。

同中銀の報道担当者は、「ここ数四半期にわたり国際市場における世界的な資産運用会社への資金配分を増やしてきた。準備資産の拡大に合わせた動きだ」と説明。

その上で、「委託資産(運用マンデート)の配分変更が行われた場合、それは一般的な資産運用慣行に沿って実施されるSAMAの定期的なポートフォリオ見直しの結果を反映したものだ」と続けた。

SAMAの外貨準備は、サウジアラビア・リヤルの対米ドル固定相場制を支える重要な緩衝材となっている。同相場制は新興国市場で最も長く維持されている為替制度の一つだ。十分な外貨資産を維持することは、金融システムに対する投資家の信認を支える中核的な要素となってきた。特に市場のボラティリティーやエネルギー価格の乱高下が続く局面では、その重要性が一段と高まる。

サウジアラビアのソブリン資金の運用といえば、近年は政府系ファンドのパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)が注目されるが、SAMAの役割はこれとは一線を画す。

PIFが戦略産業や巨大開発プロジェクト、企業への直接出資に資金を投じるのに対し、SAMAの外貨準備は流動性確保や分散投資、元本保全を重視して運用される。これは同中銀がサウジアラビアの外貨準備を管理する役割を担っていることを反映している。

サウジアラビアの外貨準備は中東情勢の緊迫化を背景に増加している。原油価格の急騰と代替輸出ルートの活用によって石油収入が押し上げられたためだ。一方、国内銀行部門の流動性は大規模な経済多角化プロジェクトへの積極投資によって長年圧迫されている。

ブルームバーグが集計したデータによると、サウジの上場銀行10行の平均預貸率は3月末時点で101.8%に達した。これはゴールドマン・サックス・グループやJPモルガン・チェースなどの約2倍の水準だ。

中銀のデータによれば、サウジ国内の金融機関による公的・民間部門向け融資残高は2月末時点で過去最高の3兆4000億リヤル(約146兆円)と、前年同月比でほぼ10%増加した。

原題:Saudi Central Bank Said to Pull Money From at Least Two Managers(抜粋)

--取材協力:Mirette Magdy、Loukia Gyftopoulou、Paul Wallace、Abeer Abu Omar.

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