(ブルームバーグ):アジア時間22日午前の取引で米国債は下落した。トランプ米大統領が、レバノンの親イラン派武装組織ヒズボラによるイスラエルへの攻撃を巡り、イランに対して再び軍事行動に踏み切る可能性を警告したため、投資家は再びインフレリスクを意識している。
米祝日のため19日の米国債現物市場は休場だった。週明けのアジア時間の取引で利回りは全年限で上昇した。中東情勢の緊張激化でエネルギーコストが高止まりし、インフレ抑制に向けた米連邦準備制度の取り組みが複雑になるとの懸念から原油が一時買われ、債券相場の重しとなった。
米国とイランの当局者は、より持続的な和平合意の確保を目指し、スイスで協議を開始した。会合が始まる中、トランプ氏は、イランが「レバノンで問題を起こしている高額報酬の代理勢力」を直ちに止めなければ、イランを再び攻撃するとソーシャルメディアに投稿した。イランが応じなければ、米国がホルムズ海峡の通行料徴収を始める可能性があるとも警告した。
野村ホールディングスのストラテジスト、アンドリュー・タイスハースト氏(シドニー在勤)は「米国債現物市場は19日が祝日で休場だったため、今朝はその間の材料を織り込む動きになっている」と指摘。「これに加え、今朝の原油高が債券の重しとなり、利回りを押し上げている可能性が高い」と述べた。
トランプ氏の警告後に原油は買いを集めた。北海ブレント原油先物は取引開始時に一時2.2%高の1バレル=82.30ドルとなり、米ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は77ドル近辺で推移した。その後、米国とイランの和平協議に進展の兆しが見られたことで原油は下げに転じている。
ブルームバーグ「マーケッツ・ライブ」のストラテジスト、ガーフィールド・レイノルズ氏は、「これから始まる60日間の米・イラン交渉は、緊張再燃の可能性も生む。そうなれば原油価格を押し上げ、利回りも連動して上昇する恐れがある」と指摘する。
米10年国債利回りは22日のアジア時間に一時5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、4.50%となった。政策動向に最も敏感な2年債利回りは4.22%に上昇した。
ストラテジストらは、先週のウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長によるタカ派的なメッセージも、売り圧力のもう一つの理由に挙げた。同議長は、高インフレを容認しない姿勢を表明した。トレーダーは現在、9月までに25bpの利上げが実施されるシナリオを織り込んでいる。先週初め時点では、来年3月までの利上げが見込まれていた。
RBCキャピタル・マーケッツのアジアマクロ戦略ディレクター、アバス・ケシュヴァニ氏(シンガポール在勤)は「市場では、先週のタカ派的なFRBの姿勢を受けた取引がなお続いている」と指摘。「中東で最近起きた敵対行為や原油価格の上昇も、利回りを押し上げている」と述べた。
原題:Treasuries Decline as Trump’s Iran Threats Stoke Inflation Fears(抜粋)
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