トランプ米大統領はこれまで、汚職や利益相反を巡る疑惑が繰り返し浮上しても、共和党が大きな政治的打撃を受ける事態を回避してきた。しかし、今年の中間選挙では民主党は、ついにその代償を払わせられると期待している。

生活費の上昇に加え、汚職問題も米議会の主導権を争う選挙戦の主要争点になりつつある。世論調査によると、有権者は利益相反や指導者による私的利益の追求に対し、議員が厳しく追求することを望んでいる。そうした指導者には、昨年の大統領復帰後に個人資産が大幅に増えたトランプ氏も含まれる。

選挙資金制度改革を訴える民主党系団体エンド・シチズンズ・ユナイテッドのティファニー・ミュラー会長は、「この問題は今回の選挙で、これまでとは異なる形で注目を集めている」と語った。

共和党内でも、トランプ氏の行動によって汚職問題が政治課題の上位にとどまり続けているとの見方が出ている。今月初めには、共和党議員らがホワイトハウスに対し、トランプ氏の側近らの利益につながる可能性がある18億ドル(約2900億円)の基金計画を撤回するよう求めた。

さらにトランプ氏は19日、カタール政府からの4億ドル相当の「贈り物」を披露し、民主党に新たな攻撃材料を与えた。その贈り物は、新たな大統領専用機「エアフォースワン」として改修されたボーイング747-8だ。同機の安全対策や通信設備の改修費用は米国の納税者が負担する一方、トランプ氏は退任後、この機体を自身の大統領図書館に移す考えを示している。

アンドルーズ統合基地で新たな専用機を視察後、発言するトランプ米大統領

トランプ氏はアンドルーズ統合基地の格納庫で機体を前に、「誰も見たことがないほど豪華な『空飛ぶホワイトハウス』へと生まれ変わった」と述べた。

これにいち早く反応したのが、民主党のクリス・マーフィー上院議員だ。同議員はXへの投稿で「大統領がエアフォースワンを私物化した例はこれまで一度もない。その費用を負担するのは納税者だ」と批判した。

民主党は今回の航空機の件についても、トランプ氏による私的利益の追求を裏付ける新たな事例だと主張している。

強まる有権者の不満

トランプ氏は今年1-3月(第1四半期)に数千件に上る株式取引を行っており、その中にはトランプ政権と取引のある企業の株式も含まれている。また、金融犯罪で有罪判決を受けた人物に恩赦を与えており、その一部は同氏を支援する団体に数百万ドルを寄付していた。さらに、有権者が生活費の負担に苦しむ中、ホワイトハウスに豪華な大宴会場を増設することに力を注いでいる。

トランプ氏は利益相反や汚職を巡る批判を繰り返し否定している。ホワイトハウスのデサイ報道官は、「トランプ大統領は、米国の政治システムをゆがめてきた既得権益に立ち向かうと公約し、その約束を繰り返し実行してきた」と述べた。

しかし、世論調査によると、こうした主張は有権者の支持を得られていない。

世論調査会社ナビゲーター・リサーチのマネジングディレクター、メリッサ・トゥファニアン氏は、「有権者は富裕層やエリート層が利益を得ていることに加え、権力に近い人々が恩恵を受けていることにも不満を抱いている。その一方で、自分たちは家賃や医療費の支払いにも苦しんでいると感じている」と語った。

同社が今月公表した調査によると、接戦州の67選挙区では、政府の汚職問題が高インフレと並んで有権者の最大の懸念事項となっている。トゥファニアン氏は、議員が経済問題よりも自身の利益を優先し、経済への対応に十分取り組んでいないとの認識が有権者の間で広がっていると指摘した。

民主党は11月の中間選挙で上下両院の多数派奪還を目指しているが、主要選挙区では苦戦が予想されている。それでも、上下いずれかで多数派を奪還できれば、トランプ氏や政権に対する調査や追及を進められるようになる。

民主党が攻撃材料に

2028年大統領選の民主党候補として名前が挙がるジョン・オソフ上院議員は、汚職問題を中間選挙に向けた主要な争点に据えている。同氏は最近の演説で、「マールアラーゴ・マフィアは、米国の腐敗を前例のない水準にまで押し上げた」と批判した。

テキサス州の民主党上院候補ジェームズ・タラリコ氏も、この問題を主要な争点としている。同氏は17日、Xへの投稿で、「米国で最も腐敗した政治家を打ち破れば、この腐敗したシステムも打ち破ることができる」と訴えた。

再選を目指す民主党のコリー・ブッカー上院議員は18日、トランプ氏の誕生日にホワイトハウスで開かれた総合格闘技団体UFCのイベントについて、「まさに腐敗そのものだ」と批判した。

ただ、どの政党の政治家に対しても有権者の不信感が強まる中、この問題が民主党にとって決定打になるとは限らない。

ブレナン司法センターが最近実施した世論調査によると、回答者の68%がトランプ氏を腐敗しているとみていた一方、議会については85%が同じ認識を示した。その理由として有権者は、選挙で選ばれた政治家が公職を私的利益のために利用していることや、選挙資金が富裕層の献金者や企業から拠出されていることを挙げている。

原題:Trump Opponents See Opening to Make Corruption a Midterm Issue(抜粋)

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