(ブルームバーグ):バンス米副大統領は20日、イラン高官らとの協議のためスイスへ向かった。レバノン南部での戦闘により、協議開始が遅れ、イランは再びホルムズ海峡を閉鎖した。
バンス氏がワシントンを出発する直前、仲介役であるパキスタンはシャリフ首相とムニール陸軍元帥がスイスでの会合に出席すると発表した。
バンス氏は「私は1日か2日しか滞在できない」と、出発前に記者団に語った。「核問題で進展を遂げ、レバノン停戦でも前進できるよう期待している」と述べた。
当初は19日にスイスで予定されていた米・イランの協議は、イスラエルと親イラン派武装組織ヒズボラによる衝突を受けて、いったん延期されていた。イランは20日、イスラエルによる停戦違反があったとして、ホルムズ海峡を閉鎖したと表明した。
米国とイランが署名した覚書により、60日間の交渉への道筋が整った。バンス氏によれば、交渉は18日に始まり、トランプ政権の交渉担当者であるジャレッド・クシュナー氏とスティーブ・ウィトコフ氏が技術的な話し合いを率いている。
イランはガリバフ国会議長とアラグチ外相、ヘンマティ中央銀行総裁らを派遣したと、国営IRIBニュースが報じた。
この暫定和平の合意はイランでの戦争終結を意味したが、その成立自体が困難を極めたものだった。しかもイランの核開発能力を巡る、より難しい交渉はまだスタート地点に立ったに過ぎない。技術面での協議は、イランのウラン処理や高濃縮ウラン備蓄の破壊または希釈を中心に進められる予定だ。
トランプ大統領は19日、カタール政府から提供された次期大統領専用機を公開したアンドルーズ統合基地で、双方にはなお合意に達する時間が残されているとの認識を示した。
「そうでなければ、彼らが喜ばないような措置を取ることになるだろう。しかし、そうした事態にはならないと思う」と述べ、「非常に良い結果になる」との見方を示した。
イスラエルが続けるレバノンでの攻撃は、すでに米国とイランの協議を複雑化させていた。イスラエルは2月28日に始まったイラン空爆では米国と行動を共にしていたが、和平協議には当事者として関与しなかった。
イラン外務省のバガイ報道官は、レバノンの状況とイスラエルの軍事行動について、米国には「直接的な責任」があるとの認識を示した。
一方のイスラエルは、ヒズボラがもはや脅威ではないと確信できるまで、国境地帯に部隊を駐留させ続けると主張している。ネタニヤフ首相は18日、「イスラエルは北部地域の住民を守るために必要な限り、レバノン南部の安全保障地帯にとどまる」と、ソーシャルメディアへの投稿で述べた。
トランプ氏はこれまでのイスラエルの攻撃を巡り、ネタニヤフ首相への不満を表明している。バンス氏は18日、イスラエルによる攻撃は時として「大きな突破口が開かれる直前」に行われてきたと述べた。
「イスラエルには自衛の権利がある」と、バンス氏はホワイトハウスで記者団に語った。「しかし根本的には、イスラエルも他のすべての関係諸国と同様に、この和平プロセスを尊重しなければならない。この和平プロセスはイスラエルにとっても、地域全体にとっても有益なものだ」と述べた。
17日に署名された米・イランの覚書により、米国はイラン港湾に対する海上封鎖を解除し、イラン産原油の販売を妨げてきた制裁の適用除外を認めることを約束した。これに対しイランは、世界の石油輸送の要衝であるホルムズ海峡を再開すると表明していたが、20日に再び閉鎖した。ただしイランは、同海峡を通過する船舶に対し、イラン政府の許可取得と強制保険加入を義務付けるとしている。
イランのペルシャ湾海峡庁(PGSA)はウェブサイトに掲載した文書で、ホルムズ海峡の通航に際して求めている保険料は現在は無料だが、将来的には費用が発生する可能性があると説明した。米国と欧州、湾岸アラブ諸国は、この構想に反発している。バンス氏は18日、その可能性は低いとの見方を示していた。
原題:Vance Heads to US-Iran Talks With Hormuz Status in Question (1)(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.