「どんどんやっていい。賛否を巻き起こしていい」

防衛省・自衛隊が部外の事象や指摘に対し、歴代の大臣が記者会見などでコメントを発言することはあっても、省としての見解がSNSに投稿・公表されることは極めて異例と言える。
先述の名大祭に関連する投稿では「(活動の実情を伝える機会が失われたことは)看過できるものではない」「極めて遺憾」と強いトーンで投稿し、強い不満を表明している。
小泉氏は就任後に沖縄を訪問した際には一部の住民から自衛隊員に対し「人殺しの練習をしている」とする意見が出ていることに対し「心無い声がある」と主張したり、野党議員が国会質疑で「豊かな子どもたちは自衛隊にならない」などと発言したことに対しては「冒涜にあたる」と厳しく批判するなど、歯に衣着せぬ物言いを重ねてきた。こうした発言が「覚醒した」と評される所以でもあるのだろう。
しかし今回の見解は、1人の国会議員や大臣としてだけではなく、防衛省としてのスタンスを示したものだ。
投稿に際し小泉氏は「どんどんやっていい。賛否を巻き起こしていい。」と指示したという。
この指示について、ある防衛省関係者は「SNSが主流の中で、小泉大臣は誤った一方的な意見だけが流布されることに納得していない。『自分たちはこう考えている』と発信しないことには、『一方的に言われたままになってしまう』という問題意識を持っている」と解説している。
小泉大臣を支える特命チーム「フロントオフィス」
これまで国防族と呼ばれる重鎮が担うことが主流だった防衛大臣ポストだが、“異色”の小泉氏を支える存在も明らかになってきた。
「フロントオフィス」と呼ばれる、ごく少数の職員からなる大臣直轄の特命チームだ。大臣に常時同行する秘書官とは異なり、省内の各担当課と小泉氏をつなぐ、いわば“パイプ役”とされている。
「小泉大臣が就任してから立ち上げたチームです。大臣が動くものは、必ずチームを通します。担当課に指示が出ることもあれば、担当課からの意見を吸い上げてくれています。“外”から来た小泉大臣にとって、防衛省の常識は、非常識と見えることもあるそうで、発信力のある新しい風(=小泉氏)の指示に対応するための特命チームです」(防衛省幹部)
主な業務は小泉氏の発信を中心とした補佐ということだが、このチームを評価する声は省内各所から聞こえてくる。通常、防衛大臣の発信内容や政策の方向性を決める際には、担当の部署が詳細を定め、一定の方向性や内容を固めてから大臣に承認を得る形で進めるのが通例だ。一方、フロントオフィスを通じることで、アイデアベースの段階で小泉氏へ意見が集約されるため、いわゆる“根回し”のような段取りを必要とせずに迅速な意思決定に繋がっているという。
関係者が例にあげるのが、今年5月に小泉氏が発表した「国会議員会館への紙資料配布のとりやめ」だ。防衛省が長年慣例として、国会議員会館に対し、ホームページやSNSなどに公表する資料と同じものを複数の若手の職員が印刷し配布していたもので、「若手職員の業務を圧迫している」との声があがっていた。そもそも、この意見は、担当課を中心に長年にわたり省内で疑問視されていた業務の1つだが、フロントオフィスを通じ小泉氏の耳に入ったことから、防衛省としても原則として配布を取りやめを決定し、公表したという。