ドイツのメルツ首相は、為替レートに関する国際協議を呼びかけた。拡大する対中貿易赤字に対処する欧州連合(EU)の取り組みの一環で、中国人民元の過小評価の是正を念頭に置いているとみられる。

メルツ首相は中国に直接言及しなかったが、EUが自国通貨を最大30%も過小評価している国々と競争していると指摘し、今週開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)で、この問題を提起したことを明らかにした。EUは中国による輸出競争力の強化に懸念を強めており、人民元が大きな役割を果たしているとみている。

メルツ氏は1985年のプラザ合意を引き合いに出した。この合意では米国と日本、ドイツ、フランス、英国の財務相・中央銀行総裁がニューヨークのホテルに集まり、ドル安に誘導するための政策協調を行った。

「これこそが、私が今まさに念頭に置いていることでもある」と、ブリュッセルでの2日間にわたるEU首脳会議の後に記者団に語った。「補助金が組織的に過剰生産能力へと注ぎ込まれ、その状況全体に、自由な交換ができず、市場が孤立しているために最終的には資本市場に参加していない通貨が加わっていることは、われわれが決して容認できない競争のゆがみだ」と語った。

欧州は、多くの重要な投入財を中国に依存している。このため、EUの政策立案者は貿易戦争の勃発を警戒し、難しいかじ取りを迫られている。EU首脳は今週の首脳会議で、EUの執行機関である欧州委員会に対し、対話を模索し続け、域内の貿易防衛手段を強化するよう求めた。

メルツ氏は、G7における自身の働きかけが米国からの強い支持を得たと説明。実際、今週は超党派の上院議員2人がベッセント財務長官に対し、商業的優位性を得るために為替レートを意図的に抑制しているとされる問題に中国が対処するよう、G7内で連携を強化して圧力をかけることを求めた。

トランプ大統領もまた、中国の為替政策は不公正で重商主義的だと長年にわたり非難してきた経緯があり、政権1期目には同国を一時的に為替操作国に指定した。

メルツ氏は「欧州側と大西洋両岸の双方において、われわれには為替レートに関するこのような対話形式の経験があり、それらの経験は概して前向きなものだった」と指摘。「われわれはこの問題について互いに話し合う必要がある」とした。

一部のエコノミストは、中国政府が1985年のプラザ合意後にみられた急速な円高のような事態を警戒していると指摘する。資産バブルと金融不安を助長したとされているためだ。2015年の人民元切り下げは市場を混乱させ、中国政府の為替レート管理に対する世界の信頼を揺るがした。

原題:Germany’s Merz Seeks Currency Talks to Fix Undervalued Yuan(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.