(ブルームバーグ):15日の米原油相場は大幅続落。米国とイランがホルムズ海峡の再開に向けた暫定合意に達したことを受けて、3月上旬以来の安値に下落した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物7月限は、前週末比4.13ドル(4.9%)安の1バレル=80.75ドルで終了。一時、80ドルを割り込む場面もあった。北海ブレント先物8月限は4.16ドル(4.8%)安の83.17ドルで取引を終えた。
トランプ米大統領はソーシャルメディアへの投稿で、ホルムズ海峡の「通航料が徴収されない形での再開」とともに、イランに対する海上封鎖も終了すると表明した。ホルムズ海峡は19日に和平合意が署名されれば再開される見通しだとした。
また、イランの半国営ファルス通信は、米国との暫定合意で、イランが60日間に限定したホルムズ海峡の無償通過を認めることになっていると報じた。
トランプ氏は「原油を動かそう!」と今回の合意を自賛したが、トレーダーやアナリストの反応は慎重だ。暫定合意案の詳細がまだ分からず、海峡の通航再開には障害が残っているほか、油田の稼働再開にも長い時間がかかるためだ。
15日の時点で、海峡を通過する船舶の交通量が急増する兆候はほとんど見られていない。海運各社は合意内容の詳細を見極めてから航行再開の是非を判断しようとしている。

世界のエネルギー市場は、2月末に米国とイスラエルがイランの核開発計画を抑制するため攻撃を開始して以来、この戦争の動向に左右されてきた。イランは報復としてペルシャ湾岸各地への攻撃を行ったほか、平時には世界の原油輸送量の約2割が通過するホルムズ海峡を封鎖した。
焦点は、この合意によって今後市場への原油供給がどの程度早く回復するかに移っている。
ワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS)のクレイ・サイグル客員研究員は、「(合意の)効果を測る基準は一つしかない。海運会社が安心して通常運航を再開できるかどうかだ」と指摘した。
ホルムズ海峡の再開にはなお障害が残る。機雷の除去に加え、イランが海峡を通過する船舶への管理強化を求めていることを巡る不透明感もある。さらに、中東海域の航行リスクも残っており、15日にはイエメン沖で船舶が攻撃を受けたと報じられた。
一方で、市場心理の変化を示す兆候も見られる。北海ブレントの直近2限月間の価格差(スプレッド)は、1バレル=1ドル未満に縮小した。期近物の価格が期先物を上回る構造は維持されているが、4月時点の12ドル超から大幅に縮小している。
WTI先物の同スプレッドは比較的高水準を維持している。オクラホマ州クッシングにある主要な原油貯蔵拠点で、在庫が運用上の最低水準に近づいているとの懸念が背景にある。米国の戦略石油備蓄(SPR)は1983年以来、43年ぶりの低水準に落ち込んだ。
原題:Oil Sinks as US-Iran Deal Boosts Outlook for Reopening of Hormuz(抜粋)
(原文更新に合わせて情報や相場を更新します)
--取材協力:Mia Gindis.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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