(ブルームバーグ):トランプ米大統領は、エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡について、19日までに再開すると繰り返し主張している。
しかし、フランスで開幕した主要7カ国(G7)首脳会議では、欧州の同盟国がトランプ氏ほど楽観的ではないことが浮き彫りになっている。欧州各国は、トランプ氏が約束するような航行再開に懐疑的な見方を崩していない。さらに、機雷除去や哨戒活動への協力を判断するには、まず合意内容の詳細を見極める必要があると考えている。
匿名を条件に語ったG7当局者の1人によると、イラン情勢への対応を巡り加盟国の共通見解をまとめるのは難しい状況だ。共同声明の採択を見込む声も少なく、トランプ政権下では共同声明の発表自体が難しい課題となっている。

トランプ氏との対立を巧みに避けてきたイタリアのメローニ首相でさえ、自国の協力はレバノンでの戦闘停止が条件になるとの考えを示した。イスラエル軍はここ数日、レバノンで攻撃を実施している。トランプ氏が描く拙速な日程に疑問を抱いているのはメローニ氏だけではない。
トランプ政権内でさえ、ホルムズ海峡の航行が直ちに正常化するとの見方は共有されていない。
米政府高官の1人は、船舶の往来が大幅に増えるまでに最大2週間かかる可能性があり、米国とイスラエルが2月にイランを攻撃する前の水準に戻るには、なお時間を要するとの見方を示した。同高官によると、海峡には除去が必要な機雷が残っているほか、船会社ごとにホルムズ海峡航行に対するリスク許容度は異なる。
同高官によると、米国とイランの覚書には、ホルムズ海峡を60日間無料で開放することが明記される見通しだ。米国は、この規定が最終合意にも盛り込まれることを求めるという。かつては当然とされていた航行の自由が、いまや協議対象となっている。
米国とイランはホルムズ海峡の再開に向けた暫定合意に達したと発表している。しかし、正式な文書は公表されておらず、双方の説明には食い違いがみられる。
覚書は19日にスイスで署名される予定だ。合意文書の全文公表時期については米政府内でも説明が分かれており、トランプ大統領は早くても週末になるとしている一方、別の米高官は今後2日以内との見通しを示している。署名式にはバンス副大統領がトランプ政権を代表して出席する見通しだ。
機雷除去になお時間
ブルームバーグが先に報じたところによると、G7首脳は今後、ホルムズ海峡の機雷除去に向けた枠組みを検討する。実施には、イランなど関係国の同意が前提となる。欧州首脳はこの任務について、G7でトランプ氏の支持を取り付けたい考えだ。
欧州側の悩みは、トランプ氏が自らの役割の重要性や、支援活動に伴う困難を十分に考慮していない点にある。
トランプ氏は15日、「船舶はすでに航行を始めている。19日には完全に再開するだろう」と発言。「発見済みの機雷の確認作業は続いているが、実質的には航行は始まっている」と語った。
ドイツ当局者は、機雷除去や哨戒任務の開始には数日ではなく数週間かかる可能性があるとみている。直接の関与には国際的な権限付与が必要になるほか、機雷除去そのものも複雑で時間を要するためだ。
ホルムズ海峡に機雷がどの程度敷設されているのか、あるいは実際に敷設されたのかどうかも判然としていない。イランは過去に海峡への機雷敷設を主張したことがある。英国は3月半ばの時点で敷設された可能性が高いとの見方を示していた一方、米国はそうした事実はないとしていた。
マサチューセッツ工科大学(MIT)のケイトリン・タルマッジ氏は、ホルムズ海峡の安全を確認する作業は容易ではないとの見方を示した。同氏によると、欧州各国は機雷除去能力を十分備えている。ただし、戦闘が再開すれば、機雷除去に当たる艦艇は危険にさらされることになる。
こうした懸念を抱えながらも、欧州各国は準備を進めている。
マクロン仏大統領とスターマー英首相は、最終的な和平合意が成立した際にホルムズ海峡の再開を支援する計画の策定を主導している。すでに15カ国超が装備や人員の提供を表明した。
開催国首脳であり、今回が最後のG7首脳会議となるマクロン氏は、この取り組みに強い意欲を示している。「これは平和のため、そして世界全体にとって極めて重要な問題だ。ホルムズ海峡の再開やレバノンの平和につながる」と述べ、「国際社会の一員として相応の責任を果たす用意がある」と強調した。
原題:US at Odds With Allies Over How Easy It Is to Reopen Hormuz(抜粋)
--取材協力:Ania Nussbaum、Gerry Doyle、Catherine Lucey.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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