米国とイランの合意によって、ホルムズ海峡が数日内に再開される可能性が浮上したが、船主やトレーダーの間では慎重な受け止めが広がっている。何カ月にもわたり再開への期待が空振りに終わってきただけに、安全な通航が可能か見極めるため、さらなる詳細を待つ姿勢が目立つ。

世界の石油・ガス輸送の大動脈であるホルムズ海峡の通航を再開させることは、和平協議において重要なテーマだった。イランがホルムズ海峡への影響力を握り、米国も海上封鎖を実施したことで、世界のエネルギー取引は前例のない混乱に陥った。有数の産油国の一部は事実上遮断され、大手企業でさえ、位置情報の発信を止めた「ダーク航行」に頼らざるを得なくなっている。

米国とイランが合意を発表し、19日に海峡が再開されるとトランプ大統領が表明したことを受け、それが実際に何を意味するのかを業界は見極めようとしている。

情報は限られており、ニュースが広がった15日未明のホルムズ海峡では動きは乏しかった。ただ、液化天然ガス(LNG)タンカーDishaは、ホルムズ海峡に向かいながら様子を探る動きをみせている。

データ分析会社ケプラーによると、ペルシャ湾内にはなお600隻近い船舶が足止めされ、湾外に出ようと備えている。一方、ホルムズ海峡の反対側でも数百隻が空荷で待機している。理論上は数百万バレルの石油が動き出すことになるが、船体のフジツボ除去といった地味な問題や、狭い航路を実際に通過するための競争など、実務上の障害は残る。

位置情報を発信するトランスポンダを切っている船舶が集計に加われば、確認された船舶数は変わる可能性がある。

安全保障も未解決の問題だ。過去数カ月には合意があったと伝えられても、その後にイラン軍による船舶への発砲や拿捕(だほ)が起きてきた。ホルムズ海峡内には機雷がある可能性もあり、航路と保険の確保が極めて重要になる。

現地状況を把握しようとするすべての船主にとって、安全保障が最優先事項だとオブシディアン・リスク・アドバイザーズのマネジングプリンシパル、ブレット・エリクソン氏は語る。

「海運業界はそれを理解している。船長も理解している。乗組員も理解している」とエリクソン氏は述べた。「一つの誤算、一つの攻撃、一つの政治判断が状況に新たな摩擦をもたらし、再び自分たちの命を危険にさらしかねないことを彼らは分かっている」

一部の石油生産者は、米国の支援も受けつつ、タンカーを通航させる手段を徐々に見いだしてきた。しかし、通航量は開戦前の水準を大きく下回ったままだ。以前は1日平均135隻のタンカーが通航していた。

まずは積載済みの船舶がペルシャ湾外に向かう準備に入る可能性が高く、湾内にいる空荷の船舶は今後数日で貨物の積み込みを始めるとみられる。現在、オマーン湾では300隻超の空荷船が待機しており、その多くは通航が回復すればホルムズ海峡を通過してペルシャ湾に入る可能性がある。

ケプラーのデータによると、現在ペルシャ湾内で足止めされている船舶の大半はタンカーだ。原油タンカーはなお98隻が湾内に足止めされており、重質石油製品を積む船舶は88隻に上る。

ケプラーのシニア原油アナリスト、ムユ・シュー氏は、リスク許容度の高い船主が最初に動くだろうと述べた。

「イランが海峡を開けば、船舶が一斉に出て行く可能性がある」とシュー氏は述べた。「ただ、イラン政府が何らかの管理措置を課すかどうかはまだ分からない」

原題:Shipowners Seek Clarity on Hormuz Deal as 600 Vessels Eye Exit(抜粋)

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