(ブルームバーグ):世界各国の首脳は、ホルムズ海峡の通航再開に向けた米国とイランの暫定合意を歓迎した。数カ月に及ぶ混乱で原油価格が上昇し、各国は代替の供給先確保に追われていた。
高市早苗首相は、今回の合意について「事態の収束に向けた大きな一歩」と指摘。今後についてはホルムズ海峡での自由で安全な航行が実際に確保され、イランの核問題などに関する最終的な合意の一日も早い実現を強く期待するとの考えを示した。
オーストラリアのアルバニージー首相は、合意を「歓迎する」と評価。ニュージーランドのラクソン首相は「この紛争はニュージーランド国民の財布を直撃し、家計に圧力をかけてきた」とした上で、今回の合意について「前向きな一歩」だと語った。
フランス、英国、ドイツ、イタリアの首脳は共同声明で、合意を「心から歓迎する」と表明した。声明で「われわれは米国、イラン、地域のパートナーと緊密に取り組み、この機会を生かし、勢いを維持し、長期的な外交的解決を実現する」と表明した。
カタール外務省も合意を歓迎した。トルコのフィダン外相は、関連する交渉についても建設的な姿勢のもとで継続されることに期待を示した。
週明け15日のアジア市場では株価が上昇し、原油は急落、ドルは下落した。トランプ米大統領はイランとの「合意が19日に署名されれば、海峡を再開させる」とトゥルース・ソーシャルへの投稿で言及した。
戦争前にホルムズ海峡を通過する原油の約90%を利用していたアジア各国にとって、海峡の通航再開は安心感をもたらすものだ。アジア最大の経済大国である中国と日本は、潤沢な備蓄と代替供給によって混乱を乗り切ってきたが、東南アジアの一部諸国は原油価格の上昇とそれに伴う市場変動の影響をより強く受けている。
ユーラシア・グループの東南アジア担当責任者、ピーター・マンフォード氏は「合意が維持されれば、当面の供給懸念は幾分和らぐ。世界的な価格低下は、燃料補助で財政負担を抱えてきたインドネシアや、エネルギー危機で最も大きな経済的打撃を受けたフィリピンにとって特に歓迎される」と述べた。
ただ、原油価格はなおしばらく戦争前の水準を上回る可能性があり、石油化学製品などの供給再開にはさらに時間がかかる可能性がある。マンフォード氏は「そのため、地域へのインフレ圧力と経済的圧力は幾らか残る」と語った。
一方、未確定の詳細が多く、和平が長続きするかどうかは全く見通せないと、ベッカ・ワッサー氏らブルームバーグ・エコノミクス(BE)のアナリストはリポートで指摘した。アナリストらは「合意があっても、海峡の通航再開は脆弱(ぜいじゃく)で時間がかかる」と記した。
アジア諸国が、安全な原油供給のために戦争前のような海峡依存に戻るのか、それとも混乱に備えて輸入ルートの多様化や戦略備蓄の見直しを続けるのかは、なお不透明だ。
原油輸入の多くを長くホルムズ海峡に依存してきた日本は、中南米やアフリカなどからの代替調達先確保に奔走してきた。日本は7月の原油輸入について、全量をホルムズ海峡の通過を必要としない地域から調達する見通しだ。
米戦略国際問題研究所(CSIS)のベン・ケーヒル氏はブルームバーグテレビジョンで、船主や船長らが大きな不確実性に直面していると指摘。安全性や通航費用を巡る問題が、輸送の再開ペースを左右するとの見方を示した。
ケーヒル氏は「ホルムズ海峡を通じて石油や天然ガスを安全に輸送できるとの幅広い認識が形成されるまでは、戦争前の水準に近い輸送量の回復は見込めない。重要なのはまさにその点だ。なぜなら、輸送量が戦争前の水準に戻らなければ、在庫は引き続き減少し、各国政府は緊急対応措置を継続せざるを得なくなることを意味するからだ」と語った。
原題:World Welcomes US-Iran Deal’s Pledge to Open Hormuz Oil Lifeline(抜粋)
--取材協力:Haidi Lun、Shery Ahn.
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.