米国とイランは、戦闘停止とホルムズ海峡の通航再開に向けた合意に達するまでに、2カ月以上にわたる断続的で緊張を伴う交渉を要した。だが、本当の難関はこれからだ。

両国が14日夜に発表した暫定合意は、これまで長らく解決できなかったイランの核開発計画を巡る問題について、わずか60日以内で交渉するとしている。覚書の文面は公表されておらず、6月19日に正式署名される予定だ。

合意文書の細部はまだ詰め切れておらず、署名に至らない可能性もある。実際、何が合意されたのかを巡って双方の認識の違いが表面化し始めているほか、イスラエルとレバノンの対立もくすぶっており、再び交渉決裂につながる可能性も残っている。

トランプ大統領は、この初期合意が地域の平和につながるプロセスの出発点になると主張している。一方、懐疑派は、この合意が一時的な猶予措置に終わる可能性があると見ている。イランへの経済制裁の解除をどこまで認めるのか、核開発計画をどう扱うのか、弾道ミサイル計画にどう対応するのかといった最も難しい問題について、双方が妥協する用意があるかが明確ではないためだ。

「ホルムズ海峡を再開するための暫定合意に至る可能性は十分ある」と、ブルッキングス研究所の外交政策研究ディレクター、マイケル・オハンロン氏は指摘する。「しかし、その先の包括的な合意は、現時点では現実的ではない」という。

トランプ米大統領は14日、イランとの間で軍事作戦の停止を含む和平合意が成立したと明らかにした。

不確実性をさらに高めているのが、米国とイランの間に信頼関係が存在しないことだ。

米国は、イランが核開発計画の再構築を目指していると疑っている。トランプ政権内の対イラン強硬派は、イランが合意を骨抜きにする機会を常にうかがうと警戒している。

一方、イラン当局者は、交渉期間中に米国がイランを2度爆撃したことや、最高指導者の故アリ・ハメネイ師や家族を含む指導部の大半が殺害されたことを挙げ、米国への不信感を示している。

「われわれの敵は、イランを攻撃する機会を常に逃すまいとしている」とイランのガリババディ外務次官は述べ、「60日間の交渉が最終合意につながったとしても、イランは敵によるいかなる陰謀にも備え続ける」と語った。

また、米議会の役割も不透明要因として残る。議員らは、大規模な制裁緩和には上院の承認が必要だと主張している。

これは2015年に成立したイラン核合意審査法によるものだ。この法律は、当時のオバマ大統領がイランの核開発抑制に向けた合意を交渉する際、その権限を制限する目的で導入された。トランプ氏は2018年にその合意から離脱しており、イラン側の不信感をさらに深めることになった。

共和党のグラム上院議員

「イランの核開発計画やその他の問題を巡る今後の交渉を注視していく」と、トランプ氏の盟友で長年の対イラン強硬派として知られる共和党のグラム上院議員はX(旧ツイッター)に投稿した。「イラン側の合意に対する見方が、米国の交渉団が主張している内容と異なるように見えることをやや懸念している」とも述べた。

米国内の対イラン強硬派が長年説明を求めてきた問題も、未解決のままだ。その中には、イランの弾道ミサイル計画のほか、親イラン派武装組織ヒズボラやイスラム組織ハマスといった代理勢力への支援の行方が含まれる。今後の交渉で、これらの問題が議題になるかどうかさえ不透明だ。

「この殺人的な政権がミサイル開発を続け、テロ組織の代理勢力を支援し、イランによるテロの被害者への補償を拒み続ける限り、制裁解除は1セントたりとも認めるべきではない」と、トランプ氏の2度目の就任式で演説したジョン・ヘイギー牧師は投稿した。

さらに大きな不確定要素となり得るのが、イスラエルのネタニヤフ首相だ。ネタニヤフ首相は、イスラエルが受け入れられるような対イラン合意を米国がまとめられるとは考えていない。トランプ氏はここ数日、ネタニヤフ氏への不満をあらわにしており、14日にはレバノンへの攻撃を停止するようイスラエルに要求したと述べた。

ネタニヤフ首相

「イランはこの問題への対応で非常に現実的だ。イスラエルが合意を妨害しようとすることを理解している」と、制裁問題の専門家でオブシディアン・リスク・アドバイザーズのマネジング・プリンシパルを務めるブレット・エリクソン氏は語る。「トランプ氏はネタニヤフ氏を抑制するか、あるいは今後数日間にわたり譲歩を拡大し、イランに自制を促す必要がある」との見方を示した。

昨年まで米国務省および国家安全保障会議(NSC)でイラン問題を担当していたアトランティック・カウンシルの上級研究員ネイト・スワンソン氏も懸念を示した。

6月19日に署名される合意の中核を成すホルムズ海峡再開の具体的な仕組みは、まだ確定していないとして、「確かに航行量は増加するだろう。しかし現状は依然として脆弱(ぜいじゃく)だ」とスワンソン氏は述べた。

原題:Trump Leaves the Hard Part for Later in Long-Awaited Iran Deal(抜粋)

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