トランプ米大統領が14日に80歳の誕生日を迎える。圧倒的な強さを誇示しようとするトランプ氏だが、国内外で政治的な問題が相次ぎ、自ら演出してきた全能の指導者としてのイメージには陰りが見え始めている。

14日夜には、ホワイトハウス南庭で総合格闘技団体アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ(UFC)の豪華イベントが行われ、トランプ氏の誕生日を祝う予定だ。同イベントには6000万ドル(約96億円)が投じられる。

ニューヨークで8日行われたNBAファイナルの試合を含め、トランプ氏は注目度の高いスポーツイベントに頻繁に足を運んできた。また、建国250周年の祝賀イベントで自ら演説することも発表している。

背景には、米国文化のあらゆる領域に自らを浸透させたいとの狙いがある。しかし、政治的な演出や格闘技の観戦だけで、政治的な求心力低下を覆い隠すことはできない。

トランプ氏は不人気な対イラン戦争の終結に苦戦しているほか、共和党内でも政策に異議を唱える動きが出始めている。世論調査でも、熱心な支持層を除いては支持率が低下傾向にある。

公の場では、一貫して自信に満ちた姿勢を示しているトランプ氏だが、水面下ではいら立ちを強めている。匿名を条件にホワイトハウス関係者が明らかにした。

ホワイトハウス南庭で予定されるUFCイベント向けの特設アリーナ

国民の反発の強さを浮き彫りにする場面も目に付く。NBAファイナルの試合では、マディソン・スクエア・ガーデンの大型スクリーンにトランプ氏の姿が映し出されると、観客席から大きなブーイングが起きた。ただ、同氏は「歓声の方が多かった」と主張した。

建国250周年の記念行事も、コンサートに出演予定だったアーティストが相次ぎ辞退を表明したため、代わりに自ら演説すると名乗り出た。

歴代の米大統領で在任中に80歳を迎えたのはトランプ氏で2人目で、年齢や能力について疑問視する声も上がっている。側近らは、最近の健康診断を受けて浮上した健康不安説に対して強く反論。トランプ氏がイベント中に目を閉じることがあるとの指摘については、記者らが目を閉じている写真をソーシャルメディアに投稿することで応酬した。

大統領史研究家のダグラス・ブリンクリー氏は、「80歳と聞くと、多くの人はその人物が衰えていると感じる」と指摘。「トランプ大統領は、マノスフィア(男性中心のオンライン空間)に向けて、自分が極めて健康で活力に満ちていることを示そうとしている。定期的にゴルフをし、レスリングやモータースポーツ、NBA観戦などと自らを結び付けることで、精力的に活動し、能力に衰えがないことをアピールしたいのだ」と述べた。

トランプ氏は、3期目を目指せないことは理解していると述べており、バイデン前大統領に比べると、自身の年齢を巡る疑問をある程度かわしている。バイデン氏は80歳を過ぎて再選を目指したこともあり、高齢問題を巡る懸念につきまとわれた。

原題:Trump at 80 Works to Project Strength As Political Woes Mount(抜粋)

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