米国は、ホルムズ海峡の通航再開とイランの核兵器保有阻止を柱とする暫定和平合意の成立が現実味を増しており、数日以内にも署名される可能性があるとの認識を示した。ただ、双方から食い違うメッセージが発せられており、実現時期を巡る不透明感は残っている。

12日に記者団へ説明した米政府高官は、合意が署名される可能性は80-85%あるとの見方を示した。ただし、イラン国内の強硬派の一部に依然として打開策の実現を阻止しようとする動きがあると付け加えた。その上で、こうした国内の意見対立については解消に向けた調整が進んでいると述べた。

同高官によると、合意にはイランが核兵器開発計画を持たないことを保証する一方、民生用の原子力エネルギー計画の維持を認める内容が盛り込まれる。濃縮核物質の国外搬出、およびホルムズ海峡を巡る双方の封鎖措置終了も含まれるという。さらに、全ての条件が履行された場合、米国は対イラン制裁を緩和し、同国の国際経済への復帰を認めるとしている。

ただ、イラン側がこの米高官の示した条件に同意しているかどうかは現時点で明らかではない。一方で、仲介役を務める関係者らの発言からは、今回の紛争の終結に向けて一定の進展がみられることがうかがえる。

イランのアラグチ外相は12日、米国との覚書が「これまでになく成立に近づいている」と、X(旧ツイッター)に投稿した。詳細については「適切な時期に公表する」と表明した。トランプ氏はアラグチ氏の同投稿を再投稿した。

イラン外務省は、合意文書案を引き続き検討していると表明した。協議に詳しい欧州当局者によれば、合意条件はなおイランの最高指導者モジタバ・ハメネイ師の承認が必要だという。

パキスタンのシャリフ首相は米国とイランの和平について「最終的な合意文書がまとまったことを確認できる。パキスタンは現在、双方と緊密に連携しながら次の段階の最終調整に入っている」とXへの投稿で述べた。

シャリフ首相は「これほど平和に近づいたことはかつてなかった」とも述べた。

トランプ氏は難しい政治的バランスを取る必要に迫られている。自らの共和党内の対イラン強硬派だけでなく、2月下旬に米国とイスラエルによるイラン空爆で始まった戦争への反対を強めている米国民に対しても、この合意を成果として示したい考えだ。

協議に詳しい関係者の1人は、覚書には一部の条項で解釈の余地が残されるとの見方を示した。その中には、ホルムズ海峡の通航再開が実際には何を意味するのかという点も含まれるという。同関係者は匿名を条件に話した。トランプ氏は船舶の自由な通航が認められるとしている一方、イランのメディアは、イランがなお一定の管理権限を維持するとの見方を伝えている。

バンス米副大統領は12日の投稿で、共和党内の対イラン強硬派をけん制する姿勢を示した。バンス氏は「1カ月前にはトランプ氏を歴史的な大統領だと正しく評価していた人々が、今になって未確認の報道を基に合意を批判している」と不満を示した。

その上で、「大統領は何らかの形でわれわれに良い結果をもたらすだろう」とし、イランが合意に署名しただけで凍結資金へのアクセスを認められることはないと強調した。

米国とイランは、15日から主要7カ国(G7)首脳会議が開催されるのを前に、ホルムズ海峡の再開に向けた合意の締結に近づいていると、事情に詳しい関係者らは明かした。関係者によると、近隣のスイス・ジュネーブが署名式の開催地候補として浮上しており、早ければ14日にも実施される可能性がある。

今年のG7首脳会議は15-17日、フランス・アルプス地方のエビアンで開催される。

トランプ氏は11日、合意文書への署名が行われる場合には、自身の代理としてバンス氏を出席させる考えを示した。一方、米政府高官は12日、署名の時期や場所についてはまだ決まっていないと述べた。

原題:US Vows Interim Iran Deal Will Reopen Hormuz, End Nuclear Threat(抜粋)

--取材協力:Hadriana Lowenkron、Jennifer A Dlouhy、Josh Wingrove、Dan Williams、Paul Wallace、Michelle Jamrisko、Courtney Subramanian.

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.