・北中米3カ国共催のW杯は、初の価格変動制導入でチケット代が異常高騰

・開催都市は巨額の経済効果を見込むが、警備インフラ負担で赤字の懸念

・米国の厳格なビザ政策や高額費用により、スタジアムが空席となるリスクも

史上初づくしの北中米ワールドカップと高騰するチケット

再び北中米で開催されるワールドカップは、あらゆる意味で前例のない大会となります。FIFA史上初めて、アメリカ・メキシコ・カナダの3カ国共催となり、16の開催都市で全104試合が行われます。出場国も従来の32カ国から48カ国へと大幅に拡大しました。

しかし、ファンにとって最大の衝撃は「価格変動制(ダイナミックプライシング)」の導入です。需要と供給に応じて時間や日・週単位で価格が変動するこの仕組みが、世界的な規模で導入されるのは初めてのことです。元の価格が約400ドルのチケットが、転売市場で2万ドル以上に跳ね上がるなど、すでに正気の沙汰ではない価格高騰が起きています。巨大なアメリカ市場の需要を見越して、値上げ目的の投機的な買い手も多数参入しています。

トランプ政権の移民政策と遠のく海外ファン

海外のファンにとっての障壁は、高額なチケット代や航空券だけではありません。アメリカの厳格な移民・観光政策も大きな壁となっています。トランプ大統領の政策により、特定の国の人々がビザを取得するのは非常に困難になっています。

例えば、セネガルから全手続きを済ませてアメリカ大使館で面接を受けたファンも、最終的にビザの発給を拒否されました。こうした外国人に対する不親切な対応や複雑な手続きを前に、過去の大会に欠かさず足を運び続けてきた熱心なファンの中にも、今回のアメリカへの渡航を諦める声が上がっています。

皮肉なことに、トランプ大統領自身はサッカーファンを公言しており、FIFAのジャンニ・インファンティノ会長とも極めて親密な関係にあります。インファンティノ会長は新たに「FIFA平和賞」を創設してトランプ大統領に贈るなど関係強化に努めており、真意は不明ですが、そうした蜜月関係がイランの大会参加への道を拓いたとも囁かれています。