食料品の値上げペースは年4~8%
値上げは2027年4月のタイミングでなくても、随時進んでいくだろう。もともと食料品の値上げは、他の財・サービスよりも活発であった。総務省「消費者物価」では、2026年4月の食料品(除く外食)は前年比4.0%(含む外食は3.5%)であった。2025年4月は同7.0%、2024年4月は同4.8%、2023年4月は同8.9%、2022年4月は同4.4%となっている。すでに5年連続で大きなプラス幅になっている(5年平均5.8%)。もしも、このペースで2027年4月以降も各種食料品の値上げが進んでいくとすれば、減税効果を値上げ効果が食いつぶすのは約1年3か月になる(▲7%÷5.8%=1.2年<1年2.4か月>)。問題の本質は、食料品の物価上昇圧力を減圧するような能動的な措置を採らなければ、受動的なかたちで消費税減税を実施しても、その効果は時間が経てば消えてしまうということにある。物価上昇の原因がなくならず、痛み止めを飲むように消費税減税だけで物価高対策を済ませようとしても、中長期的には意味がなくなる。

反面、この消費税減税の代償は大きい。社会保障財源に穴が開き、地方税収も減少する。政府全体では、だいたい▲4.3兆円もの減収になる。民間事業者にも費用をかけてレジの改修をお願いしてきたのに、減税効果の持続性が僅か1年3ヵ月程度では、ご迷惑をかけた割にと言葉に窮してしまいそうだ。
火元は円安・海外物価
経済を分析するエコノミストとして、原因をなくさなければ「結果=物価上昇の痛み」はなくならないと診断できる。政治の世界では、「消費税憎し」という国民感情におもねって消費税減税をどうにか実現したいと考えている節がある。しかし、その感情に流される弊害は極めて大きい。消費税減税を実施しても、潜在的な物価上昇圧力がそのままであれば、2027年4月の物価下落の幅は相対的に小さくなり、家計への恩恵も限定的になる。経済政策はもっと合理的な方針で主導されるべきだろう。
2021年末頃から日本の食料品物価が上がってきたのは世界的インフレによって、海外の穀物、肉類、魚介類、肥料・飼料価格、そして人件費が上がってきたことが大きい。日本の自給率はカロリーベースで2024年度38%であり、62%を輸入に依存する格好である。つまり、海外の価格高騰が輸入を通じて国内食料品のインフレを起こしている。
海外の物価高は、海外旅行・海外出張をすれば強烈に感じられる。日本人が海外物価を引き下げることは不可能だから、有効な手段は、為替を円高にして輸入物価を引き下げるか、日本の賃金を大幅に引き上げるか、その2つしか対処法はない。