6月利上げはインフレの上振れリスクへの対応となる公算、先行きは不透明

Bloombergは6月4日、「日銀が今月会合で1%への利上げ検討、年内に追加の可能性も-関係者」との記事を配信した。関係者によると、「現段階では経済・物価は日銀が4月に示した見通しに沿って推移している。物価上昇が景気に悪影響を及ぼすリスクに対応する必要性が高まっている」という。

6月3日の植田総裁の講演を受け、6月15-16日の決定会合で利上げが決まる可能性が大きく高まっている。市場の注目は今後の利上げパスとなっていると言えるが、この関係者は「日銀は現時点では政策対応が遅れるビハインド・ザ・カーブに陥っていると認識しておらず、連続的な政策金利の引き上げや大幅な利上げが必要とは判断していないと関係者は指摘。ただ、物価の上振れリスクが意識される状況が続く可能性は大きく、動向次第で年内の追加利上げの余地もあるとみている」(Bloomberg)という。むろん、日銀の関係者が自らビハインド・ザ・カーブに陥っていると認めることはないだろう。そのため、連続的な利上げを実施するという姿勢が示される可能性は低い。決定会合後の植田総裁の会見でも、①基調的なインフレ率が目標に向かっていく確度が高まったら利上げを進めること、②その間に(今回のように)インフレ率が上振れるリスクが高まったと判断されれば利上げによって対応すること、がそれぞれ分けて説明された上で、次回の利上げタイミングのヒントはないだろう。今回の「年内に追加の可能性も」という報道は、あくまでも一般論として可能性を示唆しているだけであり、今後の政策パスに与える影響は限定的だと考えられる。

なお、筆者は米や食料品の価格下落などを反映し、しばらくはインフレ率が高まりにくい展開を予想している。そのため、①インフレ目標達成の確度が高まったとして利上げを実施することのハードルは高いとみている。したがって、円安や原油高といった外的要因によって②インフレ率の上振れリスクが高まるかどうか、という点が重要である。そして、今回の利上げ判断もビハインドだと指摘されているように、次回の利上げ判断もビハインドだと指摘された後での利上げになるだろう。この傾向は、日銀の判断というよりは高市政権の意向を反映したものだと、筆者はみている。いずれにせよ、6月に利上げをした場合の次の利上げは最短でも年末の12月会合だろう(半年のインターバル)。なお、筆者のメインシナリオは、米国の利下げ観測が復活することを背景に、日銀の年内の利上げは6月が最後になるというものである。

(※情報提供、記事執筆:大和証券 チーフエコノミスト 末廣徹)