「楽観論」と「半導体への逃避」の日替わり相場

6月4日の米国株式市場は、イラン情勢の改善期待を受けて楽観論が広がった。米国務省がレバノンとイスラエルが停戦を実施することで再び合意したことが背景だった。もっとも、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラは停戦を拒否すると発表しており、先行きの不透明感は強い。

そういった不透明な状況ながらも、この日は原油価格が下落し、景気敏感株や消費関連株へ物色が広がったことでダウ平均はまとまった幅で上昇した。他方、ナスダック指数は続落し、SOX指数は6営業日ぶりに反落した。このところ、イラン情勢や景気の楽観論が広がると景気敏感株が買われ、ハイテク・半導体関連株が売られる展開が目立っている(景気不安が生じれば逆の動き)。特に半導体関連株が債券のような安全資産としてみられているようである。この状況は、AIや半導体市場への懸念が広がり、これらのセクターにもリスクがあるとの認識が広がるまで続くという見方が多いだろう。

しかし、より重要なのは債券が安全資産としての機能を失っていることである。すなわち、インフレ懸念や利上げ観測が燻っていることが債券の安全性を低下させている(リスクが高いという認識が広がっている)ことが、経済の不透明感と相まって、消去法的にAIや半導体関連株への資金集中を引き起こしている。このように考えると、インフレ懸念が和らぐ(ないしはディスインフレ懸念が強まる)ことで、債券が買い戻されるタイミングが、AI・半導体関連株の本格調整のタイミングになるだろう。

イールドカーブの動きはFRBの余裕を示す

6月4日の米国債券市場は、原油価格が下落したことなどを受け、利上げ観測が後退した。長期金利は前日差▲2.2bp、2年金利は同▲3.9bpだった。このところのイールドカーブは、この日のようなブルスティープ化とブルフラット化の動きが目立っている。すなわち、金利変動は当面のFRBの利上げ・利下げ観測によってもたらされ、長期金利の動きは大きくない。これは、FRBが必要であれば利上げを実施する姿勢を示しており、インフレ予想が安定的であることが背景だろう。FRBは市場の信頼を得ることに成功していると言え、FRBは現在の政策スタンスが良好なポジションにあると解釈しているだろう。

この日はデイリー・サンフランシスコ地区連銀総裁が、「経済がどのような展開を見せても、どちらの方向にも対応できるだけの用意がある」「今後起こり得ることについてフォワードガイダンスをこれ以上示しても、結局は誤った方向に導くことになりかねない。経済の推移をただ見極めるほかない」(Bloomberg)と述べた。このようなスタンスが当面は続くだろう。その結果として、米国の長期金利は横ばい圏の動きが続く可能性が高い。