(ブルームバーグ):野心ある投資銀バンカーなら、通常は避けたいと思うような状況だろう。史上最も注目を集めているとも言える新規株式公開(IPO)の幹事社として米宇宙開発企業スペースXは23社を発表したが、そこにジェフリーズ・フィナンシャル・グループの名前はなかった。
しかし、弱気投資家やジェフリーズの一部幹部は、これをむしろ特別な好機と捉えている。
事情に詳しい関係者によると、スペースXに懐疑的なヘッジファンドは、上場後に同社株の空売りを設定できないかジェフリーズに打診している。関係者は部外秘の情報だとして匿名を要請した。
スペースXのIPOに関与していない米投資銀行として、ジェフリーズは最大の存在だ。このため、他社にはできないスペースX株の空売りを仲介できる環境にある。
ウォール街の銀行は通常、ある銘柄の強気・弱気のどちらにも顧客が賭けるのを支援するが、一方の部門がその企業の将来性を売り込みながら、別の部門がその株を空売りする取引を手掛けることには、法務部門が神経をとがらせる可能性がある。ましてや移り気で知られるマスク氏のこと、23社の幹事社のうちの1社が大規模な空売りの設定を支援したと知れば、どのような反応が返ってくるか分かったものではない。
ジェフリーズ広報は「スペースXや他のIPOで、当社はいかなる空売りも奨励していない」としつつ、「株式が取引され始めれば、当社は独立したプラットフォームとして、バランスの取れた双方向の市場活動を顧客に提供する」と説明した。
むしろ存分に
少なくとも1兆8000億ドル(約288兆円)という過去最大の企業評価が見込まれるスペースXのIPOには、各銀行が参加を争った。ゴールドマン・サックス・グループのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は、X(旧ツイッター)にメッセージを書き込んでマスク氏に直接接触した。
この努力は奏功し、IPOの主幹事の座を射止めたのはゴールドマンとモルガン・スタンレーだった。手数料が異例の低水準に抑えられるとしても、幹事社には約5億ドルの収入が入る見通しだ。
ジェフリーズもこの幹事社に加わると広く見込まれていた。同社は今年、全世界のIPO引き受けで順位を2つ上げ、6位となった。また近年は、過去数年にはゴールドマンのディールメーカーだったベッキー・シュタインタール氏とステファニ・シルバーシュタイン氏を引き抜くなど、テクノロジー分野の強化を進めてきた。
事情に詳しい関係者によると、スペースXの幹事社指名から漏れたことでジェフリーズの有力投資銀バンカーらは落胆しているものの、トレーディング部門の幹部はむしろ存分に取引を拡大できる好機とみている。同社のトレーダーは空売りに加え、IPOで株式の割り当てを受けた投資家が上場後数日で保有株を売却する場合の支援を行う用意も進めている。
マスク氏企業の株主は忠実なことで知られ、同氏のグループ企業への空売りは過去に苦境に追い込まれた例もある。それでもウォール街では、他行の有力顧客に接触するきっかけをつかむことが、長期的に大きな価値を生む場合もある。
原題:Shorting SpaceX? Jefferies Becomes Go-To Bank After IPO Miss (1)(抜粋)
--取材協力:Peter Eichenbaum.
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