三井住友フィナンシャルグループ(FG)は、収益効率の改善につながる「資産回転型ビジネス」への転換をアジア太平洋(APAC)地域でも加速させる。新たな金融手法を積極的に取り入れることで、欧米の巨大銀行グループと肩を並べる実力を目指したい考えだ。

三井住友銀行でアジア・大洋州本部副本部長を務めるカーステン・シュトア氏がシンガポールでのインタビューで明らかにした。三井住友FGでは欧米の主要行が指標とする「有形自己資本利益率(ROTE)」を現在の約11%から15%に引き上げる目標を掲げるが、シュトア氏は「資産主導型の戦略だけでは達成できないだろう」と危機感を示した。

日本の銀行はこれまで、預金などを原資とし、企業や個人に貸したり、有価証券で運用したりして収益を上げてきた。シュトア氏が示した資産主導型とはこうしたモデルを指す。三井住友FGをはじめ、3メガバンクグループは収益効率改善のため貸出債権の外部売却などを通じて資産回転型への転換を進めている。リスク資産の量をコントロールしながら国内外で高まる資金需要に応えることにもつながる。

カーステン・シュトア氏

シュトア氏は、資産回転型の手法の一つとして、合成リスク移転(SRT)の活用を挙げた。SRTは特殊な証券化の手続きを通じて、資産を銀行のバランスシートから外すことなく、内包するリスクの一部を外部投資家に移転できる仕組みだ。

資産回転型は、欧米の主要銀行が得意とする分野で、国内銀行にも浸透すれば、収益効率の向上につながる大きな要素となる。ただ、貸出債権を外部に転売するという印象もあることから、融資先との関係を重視する文化が根強いAPACではあまり用いられてこなかった。

三井住友銀は2025年12月、米投資ファンドのブラックストーンなどと共同で32億ドル(約5100億円)分の資産を対象にアジア初のSRT取引を行ったと発表した。SRT活用により資本効率の改善を図りながら地域のニーズに継続して応えることが可能になると説明していた。

三井住友FGの広報担当者によると、シュトア氏は欧州大手銀の旧クレディ・スイスに通算約25年在籍し、要職を歴任した。24年に三井住友銀に入行、26年から常務としてAPACの事業高度化を進めている。

--取材協力:鈴木英樹.

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