ホルムズ海峡を航行する船舶を守るため、米軍は新たな取り組みを進めている。トランプ米大統領が1カ月前に打ち出した米軍による支援計画は頓挫したが、より目立たない手段に軸足を移そうという試みだ。

米国はイランに対する対決姿勢を前面に打ち出すよりも、異なるアプローチを望む海運事業者とひそかに連携している。船舶データや航行に詳しい関係者、アナリストによると、船舶は位置情報を発信するトランスポンダの電源を切り、イランの機雷を避けるためにホルムズ海峡南側のオマーン沿岸に沿って航行しており、必要に応じて米軍が支援をしているという。

米国とイランの緊張が再び高まる中、6月2日夜にも、こうした取り組みを裏付ける動きがあった。ペルシャ湾周辺を管轄する米中央軍は、「周辺海域を正当に航行していた民間船員」を狙ったイランの攻撃用ドローンを撃墜したと明らかにした。

米軍はまた、イラン軍の地上管制施設に対して「自衛目的」とする攻撃も実施している。

こうした取り組みは、トランプ氏が5月初旬に打ち出した「プロジェクト・フリーダム」からの転換を示している。プロジェクト・フリーダムは、イランによる攻撃を誘発し、停戦を崩壊させる恐れがあった。その後にトランプ氏は中東の同盟国から撤回を求められ、この構想を取り下げていた。

今回の米国の取り組みに名称はなく、政権も公にはほとんど説明していない。しかし、米国が海運会社と協力していることを示唆する他の兆候もある。

米中央軍は、そうした取り組みの可能性を否定しない姿勢に転換している。5月下旬に中央軍がSNSに投稿した際には、米海軍がホルムズ海峡通航中の商船に対する護衛や支援を再開したとの報道を「誤り」と否定した。

しかし、ここ数日で複数の船舶が海峡通過に成功したことを示す証拠がさらに明らかになると、中央軍はメッセージを変更した。

「米軍は護衛を行っていないものの、地域および世界経済にとって重要な国際回廊であるホルムズ海峡を自由かつ安全に通航しようとする商船との連絡・調整を継続している」と、米中央軍の広報責任者であるティム・ホーキンス海軍大佐は1日の声明で述べた。

ヘグセス米国防長官も週末、「公になっているかどうかにかかわらず、われわれが実施できること、そして実際に行っていること」によって、ホルムズ海峡の通航はいずれ回復するとの見方を示した。

米軍と連絡を取り合い、ホルムズ海峡の通航方法について助言を受けていた海運会社が少なくとも2社あったことは、ブルームバーグがすでに報じている。航行事情に詳しい関係者によれば、航行中にイランのものとみられる高速艇に接近されたが、突然現れたヘリコプターが高速艇を追い払ったという。

「商船がイランとは反対側の海岸線に沿って航行し、AIS(自動船舶識別装置)トランスポンダを停止しているのであれば、イラン軍はレーダーや監視要員を使って船舶の動きを把握し、ドローンやミサイル攻撃を誘導する必要がある」と、ハドソン研究所の上級研究員ブライアン・クラーク氏は述べた。

そして「米海軍はこうした動きを探知し、イラン側の部隊に反撃できる」とクラーク氏は指摘する。

ホルムズ通航は依然として限定的

一部の海運会社では通航量回復への期待が高まっているものの、ブルームバーグが集計した船舶追跡データによると、ホルムズ海峡を通る動きは依然として限定的だ。2日午前にホルムズ海峡を通ってペルシャ湾に入った商業船はわずか2隻で、前日には2隻が湾外へと通過した。

海軍リーグの海洋戦略センターのスティーブ・ウィルズ氏は、米軍は防空・ミサイル防衛機能を統合した最新のイージス指揮統制システムを搭載する艦艇や、早期警戒機E-2Dを活用することで、地域全体の状況把握を行いながら船舶保護を調整できると述べた。

ウィルズ氏は、それによって海峡に対する「遠距離からではあるが直接的な対応」が可能になると語った。

原題:US Looks to Unblock Hormuz With Quiet Version of Project Freedom(抜粋)

--取材協力:Derek Wallbank.

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