防衛力の抜本的な強化を進める日本は、防衛力整備5カ年計画の4年目に入っている。防衛費を国内総生産(GDP)比1%から2%へ引き上げており、数年以内に米国と中国に次ぐ世界3位の防衛予算を持つ可能性がある。

日本が直面する戦略的・戦術的課題を踏まえ、この防衛費の追い風をどう生かすのが最善なのか。米国やインド太平洋地域の同盟国との協力は、日本が主張を強め、地域の大国になる計画にどう組み込まれているのか。

私は若い米海軍士官だった1978年に初めて日本を訪れた。その後も制服組として何度も日本を訪問した。米国防長官付きの上級軍事補佐官、海軍中将、そして最終的には北大西洋条約機構(NATO)欧州連合軍最高司令官としてだ。今も自衛隊関係者の多くと親しい関係を保っている。

ビジネス会議のため東京を先日訪れた際には政府関係者や政治学者、国際的な投資家ら日本の指導層数十人と会った。彼らから一貫して聞かれたのは、防衛力の強化を決めた自国への誇りに加え、中東を中心とする世界的な地政学的混乱への懸念の高まりと、中国の地域における影響力と台湾に対する強硬姿勢の強まりへの警戒感だった。

日本の新たな防衛資源を重要分野にどう配分するのが最善かを巡り、多くの議論があった。

第一に、軍事作戦向けの人工知能(AI)システムの導入を急ぐ必要がある。日本には無人装備の活動を調整できるAIが求められる。これはウクライナがロシアから自国を守る中で習熟した分野だ。元自衛隊幹部の一人は「そのやり方を学ぶため、われわれは米国防総省ではなくキーウに行かなければならない」と語った。

第2次世界大戦後の平和主義の伝統にもかかわらず、殺傷を伴う作戦でAIを使う必要性についても議論された。ただし、AIに過度な判断を委ねることへの懸念も示され、攻撃に至る意思決定過程「キルチェーン」には人間の判断を関与させ続けることの倫理的な重要性が指摘された。

第二に、海洋防衛は誰もがトップクラスの優先課題と考えていた。オーストラリアに倣い、先進的な原子力潜水艦を取得するための協力プログラムについて米国にアプローチすべきだとの主張もあった。

イランを注視

日本は世界最高水準のディーゼル潜水艦、とりわけリチウムイオン電池を搭載した「たいげい」型を建造しているが、静粛性と殺傷力を兼ね備えた攻撃型原潜が海洋防衛の頂点であることを理解している。

「日本は島国であり、中国による封鎖への根深い恐怖がある」とある著名な政治学者は私に語り、「中国の封鎖を突破できるのは、静粛性を備えた米国並みの原潜だけだ」と指摘した。

日本はまた、艦艇搭載型「トマホーク」ミサイルの増強や改良型のイージス戦闘システム、すなわち最上位の海上防空能力、水上・水中ドローン(無人機)、そして対艦作戦を念頭に射程500カイリ(約926キロメートル)を超える新世代ミサイルの配備も計画している。

第三の目標は、日本が「多層的沿岸防衛体制(SHIELD)」と呼ぶ無人システムへの大規模投資だ。米国から購入した長時間滞空型の「MQ-9Bシーガーディアン」のほか、艦艇や航空機から発進できる小型攻撃ドローンの大量配備が含まれる。戦略専門家の一人は「われわれはイランを注視し、そこから学んでいる」と述べた。

第四に、日本は世界的なロボット工学先進国だ。人口減少局面にある日本にとって、AI駆動型ロボットの必要性は明白だ。縮小する労働力の代替から人口高齢化に対応した介護まで、あらゆる分野で求められる。そうしたテクノロジーを戦闘作戦にも備える形で開発することは不可欠だ。

ほかにも多くの論点が挙がった。日本は地理的条件から、列島のはるか南方、南シナ海の海域まで独立して行動できる部隊が必要であり、それは指揮統制の拡充を意味する。日本はまた、艦上運用向けの短距離離陸・垂直着陸機である米戦闘機「F-35BライトニングII」を搭載できる大型艦船の建造も検討している。

同戦闘機は数が限られているが、すでに自衛隊の小型ヘリコプター搭載艦で運用されている。日本はこの分野での中国に関する知見を踏まえ、より高水準のサイバーセキュリティーを備えなければならない。次世代戦闘機の開発を巡っては、イタリアや英国との協議が進んでいる。

最後は人の問題だ。日本国憲法9条はいわゆる平和主義条項であり、18条は本人の意思に「反する苦役」を禁じている。これはあらゆる形の徴兵制を指すものと解釈されている。こうした制約に低出生率が重なり、自衛隊員の採用は難しくなっている。この問題に即効性のある明白な解決策はないが、日本は「全志願制」の課題解決が長期計画の一部でなければならないと認識している。

米国や他のアジアの同盟国と高い相互運用性を備えた世界有数の防衛力を構築する上での障害は大きい。それでも日本は、とりわけ高市早苗首相の積極的なリーダーシップの下で、この課題に十分応えられるようになりつつある。資金を確保し、戦略的思考は健全で、中国に対する懸念は日ごとに強まっている。

(ジェームズ・スタブリディス氏はブルームバーグ・オピニオンのコラムニストで、かつて米海軍大将やNATO欧州連合軍最高司令官を務めました。今はタフツ大学フレッチャー法律外交大学院の名誉学部長のほか、エーオンやフォーティネット、アンキュラ・コンサルティング・グループの取締役を務めています。このコラムの内容は個人の意見で、必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの見解を反映するものではありません)

原題:How Japan Should Spend Its Defense Windfall: James Stavridis(抜粋)

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