(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)は23日の政策委員会会合で、追加利上げを見送る公算が大きい。ただ、9月の会合で再び利上げに踏み切る選択肢は残すとみられる。
ECBはエネルギー価格の急騰を受け、6月に政策金利を引き上げた。この時点で当局者は、米国とイランの和平交渉が進展すれば、ユーロ圏の消費者物価への影響は限定的にとどまるとの見方を示していた。
しかし、その後の戦闘再開に加え、ホルムズ海峡を通過する船舶の航行を巡る不透明感が強まり、状況は振り出しに戻ったと、ECB政策委員会メンバーのストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁が指摘している。
6月の会合以降に公表された経済指標は、ECBが23日の会合で追加利上げに動く決め手にはなりそうにない。原油や天然ガス価格は、政策当局が6月に想定した基本シナリオにおおむね沿った水準で推移しており、インフレ率も予想以上に鈍化している。21日に公表されるECB銀行貸し出し調査も、全体の見通しを大きく変える内容にはならないとみられる。
そのためECBは、夏場の情勢を見極めたうえで判断できる。ラガルド総裁は9月会合までに公表される豊富な経済指標を判断材料にできる。インフレ率はさらに2回発表されるほか、4-6月(第2四半期)の域内総生産(GDP)や複数の企業景況感調査も公表される。
その最初となるのが24日にS&Pグローバルが発表する購買担当者指数(PMI)だ。6月のユーロ圏総合PMIは、景気拡大と縮小の分かれ目となる50に上昇した。
投資家やエコノミストの多くは、ECB政策委員会がこうした新たな経済指標を踏まえ、9月10日の会合で追加利上げを決めるとの見方を示している。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)のルーベン・セグラカユエ氏は「9月会合までに景気に関する指標が大幅に悪化した場合、エネルギー価格が急騰しない限り、政策金利を据え置く可能性が高まる」としたうえで、「ただ、現時点で景気が深刻に悪化する兆候は見当たらない」と指摘した。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のユーロ圏担当チーフエコノミスト、シモーナ・デッレキアイ氏は「ECBは7月は政策金利を据え置き、9月に最後の利上げを行うと予想している。信用環境の引き締まりは、エネルギー価格上昇によるインフレ圧力を和らげる方向に働き、二次的波及効果も限定的にとどまるだろう。このため、政策金利をさらに引き上げる必要はないだろう」と分析している。
このほか、今後1週間には各国・地域のPMIが発表されるほか、英国で新しい首相と財務相が就任する見通しだ。日本、英国、メキシコでインフレ指標の発表が予定されているほか、世界の12の中銀で金融政策決定会合が開かれる。インドネシアと南アフリカは利上げ、ロシアとハンガリーは利下げを実施する可能性がある。

米国では、主要な経済指標の発表は比較的少ない。注目されるのは23日に公表される週間の新規失業保険申請件数と、24日の新築住宅販売件数だ。
24日には、S&Pグローバルが7月のPMIを発表する。この統計は製造業とサービス業の活動状況を見極める材料となる。
一方、米連邦準備制度は28-29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合を前にブラックアウト期間に入っており、この期間中、当局者は金融政策に関する発言を控える。
原題:ECB Stays on War Alert Preparing for Next Rate Hike: Eco Week(抜粋)
--取材協力:Anup Roy、Mark Evans、Reade Pickert、Robert Jameson、Monique Vanek、Beril Akman、Anthony Halpin.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.