原油安と景気楽観が続けば、市場は相場の転換点を意識へ
5月27日の米国株式市場は、米国とイランの戦闘終結に向けた期待が高まり、楽観論が広がった。この日は、イラン国営テレビが「アメリカとの戦闘終結に向けた覚書の草案に、ホルムズ海峡を通る商船の航行の再開や、アメリカ軍がイラン周辺から撤退し海上封鎖を解除することなどが含まれている」(TBS)と報じ、イラン情勢やホルムズ海峡封鎖の問題について、明確な進展がみられた。米ホワイトハウスはこれを否定したが、交渉が進展している可能性が高い。仮にこのまま状況の改善が続く場合、株式市場の物色の変化には注目が必要である。この日は原油価格が下落したことで景気に対する楽観論が広がったが、「足元で上昇が目立っていた半導体関連株の一角には利益確定売りが出た」(NQN)という面もあった。景気不安がAI・半導体関連株への資金集中を促していた面があるとすれば、これが逆回転する可能性がある。
米金利は株高を睨みつつ、下げ渋りの展開
5月27日の米国債券市場は、原油価格の下落が債券相場の追い風となった一方で、株価の上昇といった金利上昇圧力もあり、結果的に小動きだった。長期金利は前営業日差▲0.2bp、2年金利は同+0.0bpだった。WTI原油先物価格は88.68ドルと、約1ヵ月ぶりに90ドルを割り込んだが、長期金利の下落幅は限定的である。例えば、WTI原油先物価格が90ドルを割り込んでいた4月下旬の長期金利は4.2%台だった。現在は4.48%となっており、下げ渋っている。背景には、4月以降の株高と米国経済への楽観論の台頭があるとみられる。原油高によるインフレ高進のリスクは低下していることから、FF金利先物市場が織り込む年内の利上げ回数は約0.62回となり、5月22日の約0.95回から低下してきた。しかし、株高によって個人消費が刺激されるという見方から、労働市場にも強気の見方が増えており、市場が利下げを織り込むまでにはかなり距離がある。筆者は、イラン情勢の悪化以降の企業の慎重姿勢がラグを伴って反映されることで、夏ごろに雇用統計が悪化すると予想しているが、このような動きがなければ、金利は高止まりが続くだろう。