ビジネススクールでは、業界の常識を変えたテクノロジー企業の代表例として、配車サービスのウーバー・テクノロジーズや民泊仲介のエアビーアンドビーがしばしば取り上げられる。創業から20年近くが経過した今、両社は人工知能(AI)時代に向けて自らの事業モデルを再構築しようとしている。

そして、両社は同じ結論にたどり着いたようだ。事業領域を拡大する必要があるということだ。

この1カ月間に開催された製品発表イベントで、サンフランシスコに拠点を置く両社は、「何でもできる旅行アプリ」構想を打ち出した。ウーバーは旅行予約サイト運営会社エクスペディア・グループと提携し、主力の配車アプリ上でホテル予約を可能にしたほか、利用者が宿泊先からテイクアウトを注文しやすくする取り組みも進めている。

エアビーも同様に、プラットフォーム上にブティックホテルを増やしているほか、食品配達のインスタカートと提携し、新たなオンデマンド食品配送サービスを始めた。宿泊施設にインスタカートの食料品を届ける仕組みだ。さらにエアビーは外部業者と提携し、空港送迎やレンタカーを提供し、ウーバーの事業領域に一段と踏み込んでいる。

ウーバーとエアビーだけでなく多くの米ハイテク企業が、中国の微信(ウィーチャット)や支付宝(アリペイ)の成功に倣おうと、「何でもアプリ」の構築を進める。中国では、電子商取引やソーシャルネットワーキング、少額決済のプラットフォームとしてウィーチャットやアリペイが欠かせない。マーク・ザッカーバーグ氏はメタのアプリ群でこれを試みており、イーロン・マスク氏も将来的にXで同様の展開を目指している。

エアビーとウーバーは、アプリ内に付加サービスをさらに組み込み、リピート利用を促す特典を提供することで、AI主導の旅行予約プラットフォームよりも優れた価値を提供できると期待している。両社は、顧客が実際に何を購入し、価格にどの程度敏感かを把握していると考えている。これは、一般的なAIチャットボットがまだ持ち合わせていない重要なデータだ。

両社が同じ市場へ進出するよう促した要因はAIだけではない。両社は以前から交通関連サービスの拡大という広範な構想を示していたが、新型コロナウイルス禍によって中核事業が打撃を受けたことで、生き残りを優先せざるを得なくなった。

英国拠点のウェルカム・ピックアップスは、専用車による空港送迎サービスでエアビーと提携している。ウェルカムのアレックス・トリミス最高経営責任者(CEO)によると、2019年時点で既にエアビーとの提携協議を進めていたが、コロナ禍によって交渉は凍結されたという。

しかし、エアビーはそこに市場機会を見いだした。ブライアン・チェスキーCEOは先週のインタビューで「実際には、ウーバーはすべての空港に対応しているわけではない」と述べた。「サービスが安定しないこともあるし、タクシー乗り場まで移動するのが難しい場合もある」という。

ウーバーにとって、サービス拡張は自然な流れだ。サチン・カンサル最高製品責任者(CPO)は先月のインタビューで、ユーザーの大半は、依然としてグーグルなどの検索サービス経由ではなく、主力アプリから予約を始めていると述べた。

ウォール街のアナリストは、今回の両社のサービス拡張策について、顧客1人当たりの収益拡大に向けた明確な戦略を示す前向きな材料と受け止めている。ただ、どちらのアプリが勝者となり、利用者を大きく取り込めるかは不透明だ。

利用者が単一のインターフェース上で大半の予約や決済を完結できる中国の何でもアプリとは異なり、米国のデジタル市場は依然として細分化されており、消費者が真の「何でもアプリ」として単一サービスを支持する段階には至っていない。

エアビーとウーバーは、新たな機能を試してもらうために割引を提供するという古典的なマーケティング手法を展開しているが、こうした販促策が利用者の定着につながるかどうかは、なお不透明だ。

原題:Airbnb and Uber Become Unlikely Rivals: Tech In Depth(抜粋)

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