(ブルームバーグ):米政府は、冷戦時代の兵器由来の余剰プルトニウムを民間の原子力開発企業に配分することを計画している。次世代原子炉の導入加速に向けたトランプ政権の取り組みの一環となる。
カリフォルニア州サンタクララに本社を置くオクロは26日の発表文で、米エネルギー省が同社と他の4社を「余剰プルトニウム利用プログラム」への参加に向けた踏み込んだ協議の対象に選定したと明らかにした。
エネルギー省によると、非公開企業のエクソディス・エナジー、シャイン・テクノロジーズ、スタンダード・ニュークリア、フライブ・エナジーも競争を経て協議対象に選ばれた。
このプログラムでは、原子炉燃料に転換可能な兵器級プルトニウム約20トンを米政府が供給する。オクロは新型原子力発電所を設計する数十社のうちの1社で、導入拡大を妨げる可能性があるとして、燃料供給の不足のリスクを警告している。
一方で、兵器級プルトニウムの配分が安全保障上の懸念につながる可能性があると警鐘を鳴らすとともに、過去の政府主導の取り組みが多額の費用を伴う失敗に終わった点を指摘する声もある。
オクロのジェイコブ・デウィット最高経営責任者(CEO)は発表文で、「このプログラムは既存の余剰物質を次世代原子炉向けの橋渡しの燃料として活用し、一段と早く一層多くの原子炉を稼働させる道筋をつくるものだ」と指摘。処分用に確保されていた物質を発電用燃料に転換できるようになると説明した。
オクロは、この物質の活用に向けて欧州の原子力企業ニュークレオと提携する。オクロ株は26日の米株式市場で4.3%高で取引を終えた。
エネルギー省は昨年、これらの物質に関する申請を受け付けると発表していた。過去のケースでは、一部の兵器級プルトニウムを商業用原子炉向け燃料に転換する取り組みが頓挫し、納税者負担が膨らんだ経緯がある。
エネルギー省は26日の声明で、「余剰プルトニウム利用プログラムは、国内の原子力燃料供給拡大に向けて企業が次段階の民間資金を呼び込み、米国のリサイクル技術の革新を促進し、米国の原子力復興を支える民間資金の活用につながると見込まれる」とコメントした。
人工知能(AI)の時代に入り電力需要が増加する中で、24時間体制で炭素を排出しない電力を供給できることから、原子力発電は一定の支持を再び得ている。
プルトニウム利用プログラムには懐疑的な見方もある。特に、兵器級物質を原子炉燃料へ転換しようとした過去の米国の取り組みが失敗に終わった経緯が背景にある。
トランプ政権1期目の2018年、サウスカロライナ州で進められていた連邦政府の計画が打ち切られた。混合酸化物(MOX)燃料製造施設の費用見積もりが約480億ドル(現行レートで約7兆6500億円)に膨らみ、完成時期も40年代にずれ込むとされた。
こうした構想を再び持ち出すことは、安全性や核拡散への懸念を生じさせると、「憂慮する科学者同盟(UCS)」の原子力安全部門ディレクター、エドウィン・ライマン氏は指摘する。
ライマン氏は電子メールで「この物質を原子炉燃料に転換することがいかに複雑で高コストかを踏まえれば、民間企業がこれを引き受け、このような危険なプロジェクトを遂行できるとは到底考えられない」と論評。「この極めて危険な廃棄物である余剰プルトニウムを処分する最も安全かつ確実な方法は地下深くに埋設することだ」と解説した。
原題:US to Provide Plutonium From Atomic Bombs to Fuel Nuclear Plants(抜粋)
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