イラン情勢は一進一退の動き

5月22日の米国株式市場は、イラン情勢の改善期待が続き、楽観論が広がった。原油先物価格が下落し、金利が低下したことも、株価の押し上げ要因となった。イラン情勢については、5月23日にトランプ大統領がイランとの戦闘終結に向けた合意がまもなく発表されると、SNSに投稿した。ホルムズ海峡の開放についても言及があった。しかし、5月24日にはイランとの合意を急がないよう担当者に指示したと、再びSNSに投稿した。イランの核開発に関して双方の隔たりがある模様である。イラン情勢は、時間をかけながらも進展していくという見方が多いと予想され、週末の動きが市場に与える影響は限定的だろう。原油価格の高止まりが続く場合、金利も高止まりするという見方から、株価の上値が重い展開が予想される。もっとも、FRBがインフレ高進を防ぐ姿勢を示していることから、長期金利の上昇余地は大きくなさそうである。金利が急騰して株価に下落圧力がかかる可能性も低い。

FRBのタカ派化が長期金利安定につながり、イールドカーブはフラット化

5月22日の米国債券市場は、インフレ懸念が後退し、長期金利が低下した。長期金利は前日差▲2.7bp、2年金利は同+3.8bpだった。FF金利先物市場が織り込む年内の利上げ回数は約0.95回となり、前日の約0.82回から増加した。FOMC議事要旨でFRBのタカ派姿勢が示された上に、FRBの議長に就任したウォーシュ氏に対して、トランプ大統領が「彼には独立して、ただ素晴らしい仕事をしてほしい」(日経)と述べたことなどが背景とみられる。トランプ大統領がこのように述べるのは、これまでと違って直接的に圧力をかけなくても、ウォーシュ氏が望んだように動いてくれるだろうという信頼感がある可能性が高いため、トランプ大統領の発言を額面通りに受け取るべきではないだろう。とはいえ、現在はトランプ大統領もFRBもインフレ懸念を弱めたいということは一致している模様である。この日のイールドカーブがツイストフラット化したように、利上げ観測の高まりが長期金利の安定に寄与していると言え、市場は安定化に向かっている。

利上げ観測の高まりが、長期金利の低下につながった背景については、物価安定に向けたFRBの信認が高まっているという見方が多いだろう(リスクプレミアムの減少)。もっとも、原油高に対して金融政策が与える影響は大きくないことも事実である。重要なのは、FRBの利上げ観測の高まりが、ドル高につながっていることである。ドル指数は3月に有事のドル買いによって上昇した後、イラン情勢の改善期待が生じた4月以降はその反動で下落していた。しかし、5月中旬以降はFRBのタカ派化によって再びドル指数は上昇してきた。22年に大幅なドル高が米国のインフレ懸念をいち早く抑制したように、FRBのタカ派化がドル高を通じてインフレを鎮静化させるという期待があるのだろう。