(ブルームバーグ):ニデックの岸田光哉社長は、事業再生や立て直しに一定のめどがついた後には、従来とは異なる領域での合併・買収(M&A)も検討していく考えを示した。これまで成長を支えてきたモーター関連中心から、新たな事業領域への展開も視野に入れる。
岸田氏は22日のインタビューで、対象として想定している分野について、モーター単体よりも、モーターと自社で保有する機械事業を制御・統合し、システムやソリューションとして提供するようなイメージだと説明した。これまで本格的には手掛けてこなかった分野への進出を通じ、事業の付加価値を高めたい考えを示した。
同社は昨年、不正会計問題を受けて東京証券取引所から特別注意銘柄に指定された。経営の一線から退いた創業者の永守重信氏はM&A巧者とも言われ、同社は70社以上を買収して事業を急拡大させた。
だがこうした買収で組織が大きくなる中で、グループ企業で相次いで不正会計が発覚。法令順守(コンプライアンス)が浸透できていなかった実態が浮き彫りとなった。
ニデックはガバナンスの確立と成長戦略の両立が課題となっている。将来、再びM&Aを成長の手段として活用していくには、買収後の経営統合作業の徹底などが求められそうだ。
M&Aは双方向
一方、M&Aは「双方向」だと岸田氏は説明。事業ポートフォリオの全面的な見直しを進める中で「得たものを外に出していくものもいくつかこれから出てくる」と述べ、原則保有を続けていた事業などの一部売却も選択肢になるとの認識を示した。
永守氏時代の経営幹部のほとんどが退社した中で残った岸田氏は従来の予定通り、10月末までに特別注意銘柄の指定解除に必要な内部管理体制確認書の提出して上場維持を目指す方針を示しており、事業再編やポートフォリオ見直しなどに注力する方針を示している。
ニデックは旧体制で掲げてきた「2030年度に売上高10兆円」を目指す目標を撤廃した。単に数値目標を取り下げたというよりも、「規模の大を追う会社としての姿勢を見直す」という意味合いが強いという。
利益率のみを重視する考え方ではないことも強調した。同社が新たな成長領域として位置付ける人型ロボットや航空宇宙分野については、「営業利益率何%といった発想では参入できない領域だ」と説明。より多くの価値を生む会社を目指し、「大きくなることを目標としていた時代とは一線を画した運営にしていきたい」と過去の経営方針と決別する覚悟を示した。
株主と対話
経営の立て直しに加えて、株主との対話も焦点になる。3月には、香港のヘッジファンド、オアシス·マネジメントがニデック株6.74%を保有していることが明らかになった
セス·フィッシャー最高投資責任者(CIO)はブルームバーグのインタビューで、ニデックに対し、取締役候補を提案していると明らかにしていた。協議状況について岸田氏は、「意見だけをお聞きしている」と説明したが、詳細についてはコメントを控えた。
またブルームバーグのデータによると、永守氏は今も個人としてニデック株8.3%を保有する筆頭株主で、再生を目指すニデックにとって同氏の意向にも関心が集まる。
会計不正を調査した第三者委員会は、永守氏が会計不正を指示・主導した事実は発見されなかったとしながら、永守氏が過度な業績プレッシャーの起点となり「最も責めを負うべき」と指摘。同氏が保有する株式の処分や、合意に基づく議決権行使の制限などを提案している。
岸田氏は永守氏の保有株についてはニデックとして話すことではなく、「永守さんのご判断になろうかと思う」と話した。
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