データで見る若年層の職場選好3つの因子(軸)と、4つの職場選好のタイプ
では、社会に役立つ仕事を通じて自分も成長したいという職場選好は、若年層の間においてどの程度見られるのだろうか。ニッセイ基礎研究所が2025年1月に実施した調査では、民間企業で正社員・正職員として働く全国20代男女に対し、「働く上で重要だと感じる職場条件」を尋ねている。
その結果を解析して整理したところ、大きく3つの軸、すなわち因子(複数の回答に共通して表れる傾向)が確認された。

ここで注目したいのは、前章で見た仕事の「熱量」に関わる2つの軸である。
「自分の成長」は「成長・評価・経営信頼志向」、「社会への貢献」については「社会・環境貢献実践志向」が、それぞれ近しい軸(因子)と思われる。
また、先ほど取り上げた研究を引用すれば、この層の「成長したい」「挑戦したい」という志向は、有能感(できるようになっている感覚)と関係している。また、「社会に貢献していると実感したい」という志向は、関係性(誰かや社会とつながっている感覚)と接続していると考えられる。
そこで、この2つの軸を使い、それぞれの因子スコア(各志向の強さを表す得点)が平均以上か未満かで分け、4つの職場選好タイプに整理、その構成比を算出した。結果は次の通りである。

この分析の結果、「自分の成長」と「社会への貢献」を同時に重視する社会貢献×成長志向層の構成比は、20代の11.9%だった。これは多数派ではないものの、20代の10人に1人強という規模であり、無視できるほど小さくもないことがわかる。
「社会貢献×成長志向層」とはどんなタイプか~職場条件や仕事に対する期待の密度が高い層
また、この層の特徴は、単に社会貢献を重視している点だけではなく、調査の回答傾向を見ると、職場条件に対する反応量(指数)そのものが大きい。この指数は各層の職場に対する条件の大きさを示している。つまり、この層は成長、評価、経営への信頼、社会・環境への貢献、働きやすさといった職場条件を、幅広く、かつ強く求めている。言い換えれば、仕事に対する期待の密度が高い層であるとも言えるだろう。
また、選択された項目の方向性を見ると、成長・評価・経営信頼36.0%、社会・環境貢献30.4%、働きやすさ・包摂33.6%と、3つの軸がほぼ均衡しており、成長、評価、社会貢献、働きやすさなど複数の条件を同時に重視していることもわかる。

また、「社会貢献×成長志向層」は、「働きやすさ・包摂志向層」と比べると、職場条件の中でも、特に、成果報酬、新しい役割への挑戦、厳格な目標・成果への志向も相対的に高い。

これらのデータから見えるのは、この層は、社会貢献への関心と、成長・挑戦・評価への関心が重なっており、言わば、仕事の社会的な意味、自己の成長と、職場における公正な評価、経営への信頼を結びつけて考える特徴を持つ、ある意味で合理的な職場選好を持つ層であることがわかる。
したがって、冒頭で取り上げた「若年層(の一部)が、昭和的な熱血企業への回帰しているのでは」と見るのは、やや粗い解釈になりそうだ。むしろ、社会への貢献と自分自身の成長を同時に求める、現代的で合理的な職場選好として捉える必要があるとも言えるだろう。