(ブルームバーグ):英銀スタンダードチャータードのビル・ウィンターズ最高経営責任者(CEO)は、「価値の低い人的資本」を人工知能(AI)で置き換えるとした19日の発言がソーシャルメディアで広く反発され、英国国外からも強い批判を招いたことを受け、従業員の不安払拭(ふっしょく)に努めた。
「香港での投資家イベント後、多くの人が自動化やAI、合理化に関する報道を目にしたと思う」と、ウィンターズCEOは従業員に宛てた20日付の文書で述べた。ブルームバーグ・ニュースが確認したこの文書は「単純な見出しや、文脈から切り離された引用は皆さんを不安にさせているかもしれない」としている。
スタンダードチャータードの広報担当者は、この文書の存在を認めた。
同行は今後4年間で約8000人のサポート部門職を削減する計画を明らかにしている。AIを理由に人員を削減する方針を具体的に示した世界的な大手銀行としては、同行は先駆的な存在となった。
「これはコスト削減ではない。場合によっては、価値の低い人的資本を、われわれが投入している金融資本や投資資本に置き換えるということだ」とウィンターズ氏は投資家イベントで述べ、対象となる従業員には事前に「十分かつ明確な通知」を行うと付け加えた。
アジアで炎上
この表現はソーシャルメディアで広く拡散され、特に同行利益の大半を生み出すアジアで批判が広がった。
シンガポールのヤコブ前大統領も批判の声を上げた一人だ。ヤコブ氏はフェイスブックへの投稿で、従業員をこうした言葉で表現するのは「不快だ」と批判した。スタンダードチャータードの世界事業において、シンガポールと香港は重要な拠点となっている。
ウィンターズ氏は香港でのイベント後にリンクトインへ投稿し、AIや人員削減について直接言及しなかったが、リンクトインのユーザーからは厳しいコメントが寄せられた。
「人間を『価値の低い人的資本』と呼ぶのか。私は香港に住んでいるが、あなたの銀行とは二度と取引しない」とのコメントもあった。
ウィンターズ氏は20日の従業員向け文書で、より共感的な語調で人材移行への取り組みを強調した。
「われわれは今後も事業運営や顧客サービスを改善し、長期成長に向けた当行の位置付けを強化するため、技術とプラットフォーム、自動化への投資を続ける」と同氏は述べた。「スタンダードチャータードの将来は、従業員である皆さんの才能と判断力、人間関係、献身にかかっていることをはっきり伝えたい」としている。
原題:StanChart CEO Calms Staff After ‘Lower-Value Human’ Backlash (1)(抜粋)
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