20日の日本市場は株式が下落。日経平均株価は節目の6万円を下回り、1日以来の安値で終えた。米金利の上昇や米・イランの和平交渉の停滞を嫌気した売りが優勢だった。

債券は長期債や超長期債が上昇(金利は低下)。この日の20年利付国債入札は利回りの高さから需要があり、波乱なく消化された。円は対ドルで159円近辺で推移している。

イラン戦争によるエネルギー価格上昇でインフレ懸念が強まり、米国を含む各国の中央銀行が利上げを迫られるとの見方から、ここ数週間で世界的に国債利回りが急上昇。米30年債利回りは19日の取引で一時5.19%に上昇し、世界金融危機直前の2007年以来の水準に達した。

トランプ米大統領は19日、数日以内にイランへの攻撃を再開すると警告した。戦争終結に向けた合意を迫る狙いとみられる。同氏は前日、予定していた攻撃を中止したと明らかにしていた。

大和アセットマネジメントの建部和礼チーフストラテジストは、足元の金利上昇は中東情勢によるインフレを背景とした悪い金利上昇だと指摘。日本株市場では財政悪化が懸念され、逆風として意識されやすいと述べた。

高市早苗首相は20日午後の党首討論で、検討中の26年度補正予算案の財源として決算剰余金などを挙げ、国債を増発する場合でも可能な限り抑制する考えを示した。

株式

株式は下落。米国でアルファベットやブロードコムなどが売られたことを受けて国内でも人工知能(AI)関連株の一角が下落した。米株市場の取引終了後に発表されるエヌビディアの決算への警戒感も強く、業種別では非鉄金属や建設の下げが目立った。

りそなホールディングスの武居大暉ストラテジストは、日経平均は6万円という心理的な節目を割り込んだことで売りが加速したと指摘。相場上昇をけん引してきた国内の半導体製造装置関連などはグローバルに見ても株価収益率(PER)が高く割高で、株価が下落しやすいと話した。

大和証券の木野内栄治チーフテクニカルアナリスト兼テーマリサーチ担当はリポートで、エヌビディア決算での注目点として、粗利率のガイダンスにあらわれるAI半導体「Rubin(ルービン)」次世代品の発売時期を挙げる。発売当初は大量生産が難しく、同社株や世界的なAI投資が停滞しかねないため、こうした問題が訪れるのはまだ先ということを決算で確認したいと記した。

債券

債券は中期債が下落する一方で長期や超長期債が買われ、利回り曲線はフラット(平たん)化した。注目された20年債入札は利回りの高さから順調に消化された。

入札の平均落札利回りは3.711%と1996年以来の高水準となり、投資家需要の強弱を反映する応札倍率は4.01倍と過去12カ月平均(3.43倍)を上回った。最低落札価格は96円40銭と市場予想(96円15銭)を大きく上回った。

SMBC日興証券の奥村任チーフ金利ストラテジストは、入札は強い結果だったと評価。投資家の間に「短期的に金利が大きく上昇し、価格が安すぎるという判断もあった」とみている。ただ、中東情勢の混乱長期化への懸念からグローバルに金利上昇が進んでいるだけに、「あくまで急激な金利上昇(価格下落)に対する短期的な反動だろう」と話した。

日本証券業協会が発表した4月の公社債店頭売買高によると、海外投資家が超長期債を2024年12月以来の売り越しに転じた。バークレイズ証券の門田真一郎為替債券調査部長は「昨年から海外投資家と信託銀行を通じた年金基金が超長期債の数少ない買い手だっただけに、円債市場のぜい弱性が浮き彫りになっている」との見方を示した。

新発国債利回り(午後3時時点)

為替

円は対ドルで159円近辺で推移。当局の介入への警戒に加え、この日の20年国債入札が波乱なく消化され、超長期金利が低下したことが円買い材料になった。

みずほ銀行国際為替部の長谷川久悟マーケット・エコノミストは、20年債入札が好調で金利が低下していることを好感して円が買われたと指摘。「金利上昇とともに円安が進行することが為替市場のテーマになっていたため、金利低下によりそうした懸念が和らいだ」と述べた。

ベッセント米財務長官が主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議が行われたパリで日本銀行の植田和男総裁と会談したことで「日銀が6月に利上げできそうな雰囲気が出てきたことも円の支援材料になっている」と言う。

片山さつき財務相は19日、G7後の記者会見で為替動向について「断固たる措置を取るときは取る」と話した。また、ベッセント長官は「日本経済のファンダメンタルズは強固であり、為替相場の過度な変動は望ましくない」と述べた。

関西みらい銀行の石田武ストラテジストは、片山財務相の発言からみてドル・円が159円を超えればいつ介入があってもおかしくないと話す。「防衛ラインとみていた158円では介入はなかったが、当局はやはり160円突破は止めたいだろう」と語る。

ただ、介入を始めた4月末以降も日本を取り巻くファンダメンタルズ(実体経済)は変わっておらず、円安の流れが続いていると石田氏は指摘。当局が介入してもすぐに円安に戻り、介入しなければ一段と円安が進むとの見方を示した。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:松山かの子.

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