米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は22日、イラン戦争に伴うエネルギーショックで物価が押し上げられる中、政策金利に関するFRBの次の動きについては、利下げと同程度に利上げもあり得ることを明確にすべきだとの考えを示した。

ウォラー理事は、戦争の影響がより明確になるまで政策金利を据え置くというのが現在の自身の立場だと説明。その上で、インフレが早期に鈍化し始めない場合、将来的に利上げを行う可能性を排除しないと述べた。

ウォラーFRB理事

ドイツのフランクフルトで開催されたイベントでの講演で、「インフレは望ましい方向に向かってはいない」と発言。

「声明から『緩和バイアス』を示す文言を削除することを私は支持するだろう。将来的に利下げが利上げに比べてあり得るわけではないことを明確にするためだ」と述べた。

ウォラー氏は原油関連のショックは早期に収束する可能性があると指摘する一方で、「インフレが近く沈静化しない場合、将来的な利上げの可能性をもはや排除できない」と語った。

この発言を受け、金利スワップ市場ではFRBが12月までに0.25ポイントの利上げを実施するとの見方が初めて完全に織り込まれた。

連邦公開市場委員会(FOMC)は4月の会合で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを3.50-3.75%に据え置いた。しかし、当局者3人が、声明に盛り込まれた将来的な利下げ再開を示唆する文言に反対した。

同会合の議事要旨によれば、インフレ率がFRB目標の2%を上回り続けた場合は利上げを検討する必要が生じる可能性が高いと、過半数の当局者が指摘していたことが分かった。

雇用のデータは予想を上回り、インフレ指標は想定以上に加速している。イラン戦争に伴うより大きなリスクは経済活動の急減速ではなく、物価上昇圧力であるとの見方を、こうした状況は一層強めている。

「ためらいはない」

ウォラー氏は、労働市場は安定化しつつあるものの活況を呈しているわけではないと分析。現行の政策金利水準については、米経済を抑制する効果を与えているとの見解を示した。

同氏はその上で、現在の金融政策を左右するより大きな要因はインフレ見通しであり、それはイラン戦争がどの程度続くかにかかっていると述べた。

「インフレ期待の安定が揺らぎ始めていると判断すれば、FF金利の誘導目標レンジ引き上げを支持することにためらいはない」と発言。

「ただ、現時点でそうした行動は時期尚早だ。今はただ、紛争とデータの推移を見極める段階にある」と話した。

22日に発表された5月のミシガン大学消費者マインド指数(確報値)は過去最低を更新。5-10年先のインフレ期待は3.9%と、4月の3.5%を上回り、7カ月ぶりの高水準となった。1年先インフレ期待は4.8%(4月は4.7%)に上昇した。

ウォラー氏は講演後の質疑応答で、最近の経済指標を受けてFOMC声明に関する自身の見解を見直すようになったと発言。

「長い間、緩和バイアスを支持してきたが、労働市場とインフレに関するここ数回の指標を受けて考えが変わった」と説明した。

米国債利回りの最近の上昇については、金融環境の引き締めにつながっており、FRBのインフレ抑制にも寄与する可能性があるとの認識を示した。

原題:Waller Sees Even Odds for Rate Hike or Cut as Next Fed Move (4)(抜粋)

(最終4段落に質疑応答部分などを追加して更新します)

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