幼児期の金融経済教育の日本における制度的・政策的位置づけ

金融広報中央委員会の2023年10月改訂版「金融教育プログラム」によれば、「金融教育は、保育所・幼稚園・認定こども園における就学前教育の段階から、小・中・高等学校、そして大学、社会人教育まで、一連のつながりをもって取り組まれるべきものである」という。

そのほか、「就学前教育についても、その後の成長に大きな影響を及ぼすものであるため、幼稚園等において、『ものやお金を大切にする』といった金融教育の本源的な概念を学ばせるとともに、これを小学校における金融教育につなげていく取り組みが期待される」といった記述もあり、幼児期の金融経済教育の重要性が一貫して指摘されている。

このように、幼児期からの金融経済教育の重要性が言及され、理念上は幼児教育も対象となっている一方で、幼児期の金融経済教育の具体的な枠組みは十分に整理されていない。

たとえば、金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「金融リテラシー・マップ」(2023年6月改訂版)では、最低限身に付けるべき金融リテラシーが、年齢層別に、体系的かつ具体的に示されているものの、幼児期段階については明記されていない。

金融庁が設置した「金融経済教育研究会」が2013年に公表した「金融経済教育研究会報告書」は、金融リテラシー・マップのもととなる文書であるが、当該文書においても「幼児」というキーワードは文書全体で2回しか出現せず、「幼児から高齢者までのあらゆる国民が金融経済教育の対象となり得る」「学校入学前の幼児についても、学校段階の準備教育を行うことが期待される」との理念的な言及に留まっている。

日本における幼児期の金融経済教育の議論や体系化は、小学校以降と比べて遅れている状況にあるといえる。