18日の日本市場は世界的債券安の流れが続き、新発30年国債や40年債の超長期金利は過去最高を付けた。10年債利回りも一時30年ぶりの高水準を更新。イラン戦争の収束が見えず、インフレの持続で中央銀行が利上げを余儀なくされるとの見方に加え、国内の補正予算編成に伴う財政悪化懸念も売り材料となった。

円は対ドルで一時159円台前半に下落し、日本の通貨当局が介入を実施した4月30日以来の安値を更新。金利高への警戒で株式も続落するトリプル安となった。

数週間に及ぶ戦争終結とホルムズ海峡の再開に向けた合意を巡り、米国とイランの隔たりは大きい。トランプ米大統領は17日、イランにとって時間切れが近づいているとSNSへの投稿で警告した。アジア時間18日のニューヨーク原油先物は1バレル=108ドル前後と大きく上げた前週末よりさらに上昇するなど、中東情勢の不透明感がインフレ警戒につながっている。

明治安田アセットマネジメント債券運用部の大﨑秀一シニア・ポートフォリオ・マネジャーは、政府が補正予算を編成することへの警戒感に加え、日本銀行の利上げに否定的な印象が強く、インフレに対して後手に回るビハインド・ザ・カーブ懸念が強まっていると指摘。長期金利の上昇は「3%という節目の水準に到達しても止まらないかもしれない」との見方を示した。

高市早苗首相は18日の政府与党連絡会議で、補正予算の編成を含め検討するよう片山さつき財務相に指示したと明らかにした。これまで補正予算は直ちに必要ないとの姿勢だったが、一転して表明に踏み切った。

債券

債券は下落(利回りは上昇)。中東情勢を巡る先行き不透明感からグローバルな金利上昇の流れが波及した。この日実施された5年利付国債入札は波乱なく消化されたが、厳しい相場状況を一変させるには至らなかった。

前週末の米国債はインフレ加速の影響を受けやすい長期債中心に売られ、30年債利回りは2023年以来の高水準に接近。米長期金利はアジア時間18日の時間外取引でも上昇し、4.6%台と25年2月以来の高水準で推移した。

5年債入札の結果は、投資家需要の強弱を反映する応札倍率が3.22倍と過去12カ月平均(3.47倍)を下回り、大きいと入札の不調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)は4銭と前回と同じだった。

三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは「ボラティリティーの高さや事前の警戒感を考えると、入札はおおむね無難な結果」と分析。ただ、補正予算の編成で赤字国債発行の可能性があり、高市政権下の財政政策に対する楽観論が一気に揺り戻され、「これで債券市場の悪いムードが変わるとは言い切れない」とも話した。

新発国債利回り(午後3時時点)

為替

円相場は対ドルで一時159円台前半に下落。中東からの原油供給の早期正常化に対する期待が後退し、ドル買いが先行している。

ふくおかフィナンシャルグループの佐々木融チーフ・ストラテジストは「円買い介入をしてもすぐにドルが戻るので、投機筋にとって利益が出やすくなっており、ドル・円には世界中から投機筋が集まってきている」と指摘した。

防衛水準を示した介入の限界が早くも露呈し、補正予算編成の可能性も出てくる中、「日銀が利上げに動けず、国債を買い続ければ円が大幅に下落する可能性は高まる」と警戒している。

みなと銀行の苅谷将吾ストラテジストは、先週まで中東情勢はエスカレーションしないという見方もあったが、イランへの攻撃再開を検討との報道もあり、地政学リスクが意識されてドル買いが進んでいると解説。日本の通貨当局による介入を意識しながらも、ドルはじわり上値を試すとの見方を示していた。

株式

株式は続落し、インフレ懸念や前週末の米国株安で投資家がリスク資産への投資に慎重になり、トヨタ自動車やホンダなどの自動車株を中心に、SUMCOやフジクラ、ディスコなど半導体、人工知能(AI)関連銘柄株の一角も安い。商社を含む卸売り、金利上昇が有利子負債の重しになる不動産、建設なども下落。

半面、今期売上高計画が市場予想を上回ったリクルートホールディングスが急騰するなどサービス業は高い。東証プライム市場の騰落銘柄数は値上がりの441に対し、値下がりは1106に達した。

三菱UFJアセットマネジメントの石金淳エグゼクティブチーフファンドマネジャーは「長期金利が2.5%を明確に超え、これ以上上がると経済を圧迫するとの見方が株式市場の重しになっている」と指摘。加えて、日本を含め世界的にAI関連株が急騰してきた経緯があり、過熱感があったことも株安の要因だと言う。

大和証券の津田遼太シニアストラテジストも、世界的なインフレ警戒による金利の上昇は「バリュエーションの高い銘柄に逆風」と話した。

--取材協力:深瀬敦子、堤健太郎.

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