(ブルームバーグ):米戦略石油備蓄(SPR)から放出された原油の半分近くが輸出されている。イラン戦争を受けた世界的な共有逼迫(ひっぱく)の深刻さを改めて浮き彫りにしている。
米税関書類に基づくケプラーのデータによると、SPRから放出された約1300万バレルが欧州などに向けて出荷された。これまでSPRから放出された原油の約40%に相当する。
SPRから原油を積み込んだ直近のタンカーは「Kyrakatingo」で、ブライアンマウンド・サワー原油70万バレルを積載した。この原油名は、米国の緊急備蓄が保管されている4カ所の地下岩塩空洞の一つ「ブライアンマウンド」に由来する。
緊急備蓄原油が輸出されること自体は珍しくない。2022年には、ロシアによるウクライナ侵攻で世界の原油供給網が混乱したことから、SPRから約2100万バレルが欧州とアジアの製油所向けに輸送された。総放出量の約10%に当たる。それでも今回の輸出規模は、ホルムズ海峡が事実上封鎖された後の世界の原油市場の逼迫(ひっぱく)ぶりを浮き彫りにしている。

トランプ政権は、イラン戦争による世界のエネルギー市場への負担軽減を目的とした先進国の取り組みの一環として、SPRから1億7200万バレルを放出すると表明した。これまでに米国は1億3300万バレルの貸し出しで合意しており、その半分超を資源商社が確保した。トラフィグラ・グループだけで全体の約4分の1を確保している。
原油は3月から8月にかけて段階的に放出される。米エネルギー省によると、これまでに実際に地下貯蔵施設から搬出されたのは3130万バレルにとどまっている。

今回の放出はトランプ大統領にとって重要な局面で実施されている。政権はイランとの和平合意を模索する一方、国内では燃料価格上昇への対応も迫られている。ガソリン価格は戦争開始以降50%上昇し、1ガロン当たり約4.50ドルに達した。同時に、米精製会社は需要がピークを迎える夏のドライブシーズンを前に、原油の受け入れ量を増やす構えだ。
原題:Foreign Buyers Snap Up Nearly Half of Trump’s Emergency Oil(抜粋)
--取材協力:Sherry Su.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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