強いPPIは不安材料となったが、ハイテク・半導体はまだ堅調
5月13日の米国株式市場は、インフレ懸念が強まる中でまちまちな展開となった。5月14日に予定されている米中首脳会談の結果を見極めたいという見方もあった模様である。この日に公表された4月の卸売物価指数(PPI)が市場予想を上回る結果となり、インフレ懸念や金利上昇懸念が強くなった。「金利上昇が逆風になりやすい公益サービスや不動産、金融などへの売りが目立った」(NQN)という状況で、ダウ平均は4日ぶりに反落した。他方、市場のリスク選好度は落ちていない模様で、景気や金利の影響を受けにくいという見方が多いハイテク関連株・半導体関連株は堅調で、ナスダック指数は反発した。
足元の株式市場は、インフレ、FRBの政策、金利動向を睨んだ展開にシフトしている。インフレについては今後のデータの蓄積を待つ段階にあり、FRBも様子見姿勢が続いている。金利上昇圧力は強い状態が続いているが、株式市場が金利上昇を懸念するようになり、株価の上値が重くなってくれば、金利上昇圧力も弱くなってくるだろう。この日も、①PPIの上振れ⇒②金利上昇⇒③株価の調整⇒④金利低下、という流れとなり、結果的に長期金利はほとんど上昇しなかった。市場全体のリスク選好が強いことから、消去法的に資金の振り向け先となりやすいハイテク関連株や半導体関連株は堅調な推移になる可能性はあるものの、株式市場全体としては金利との綱引きによって横ばい圏の動きになるだろうと、筆者はみている。
インフレ懸念が強くなったが、株価が調整したことで金利は横ばいの動き
5月13日の米国債券市場は、強いPPIの結果などを受けて金利が上昇する局面もあったが、インフレ高進が景気に与える悪影響も懸念され、最終的には金利は上昇しなかった。長期金利は前日差▲0.2bp、2年金利は同▲1.2bpだった。この日、コリンズ・ボストン地区連銀総裁は「私の最も可能性の高い見通しには含まれていないが、インフレ率が目標である2%に適時に、持続的な形で戻るよう何らかの金融引き締めが必要になるシナリオも想定し得る」(ロイター)と述べた。依然としてメインシナリオは利上げではないという説明になっているが、少しずつ利上げを視野に入れるような発言にシフトしている印象である。FRBはインフレへの対応を見誤ったと後から批判されることを避ける上でのリスクマネジメントのため、連続的にスタンスを変更してくる可能性が高い。しばらくは利上げ観測が燻る状況が続くだろう。
もっとも、それを嫌気して株価が伸び悩めば、インフレ懸念が和らぐ可能性がある。米10年インフレ予想(BEI)がレンジを抜けて上昇したのは、原油価格が急騰した3月ではなく、米国とイランの戦闘終結に向けた議論が始まってリスクオンの相場となった4月からである。予想外に株価が堅調だったことが、インフレ予想や金利を押し上げてきた面があると考えれば、株価の動向が債券市場にとっても重要だろう。