個人の国債保有割合 8%弱→14%台に上昇
ECBに代わる国債の買い手となっているのが、個人と海外投資家だ。
イタリアの財務省は2023年に新たな個人向け国債(BTP Valore)の発行を開始し、旺盛な需要を集めている。
保有期間に応じて利率が段階的に上がり、満期まで継続保有した投資家にはボーナス金利が上乗せされる。
銀行預金を上回る利回りを約束し、預金を代替する安全資産と受け止められている。
3ヶ月毎にクーポンを支払い、定期的な現金収入が必要な年金生活者などのキャッシュフロー需要にも応えている。
税制優遇も個人の国債需要を高めている。
相続税の課税対象から除外されるほか、一般的な金融商品の所得税率が26%であるのに対して、国債の利息収入や売却益に対しては12.5%の軽減税率が適用される。
5万ユーロまでの国債保有は、社会保障サービスを受給する判定基準となる資産指標(ISEE)の計算から除外される。
こうした優遇策も奏功し、8%弱にとどまった個人の国債保有割合は14%台に上昇した。
個人による国債の買い支えは、PEPPの再投資停止による国債需給の悪化懸念を和らげ、ECBが新たな国債買い入れ策(TPI)を発表したことや、パンデミックからの経済復興に必要な財政資金を加盟国に提供する欧州復興基金の始動したことと相俟って、海外投資家による国債需要も喚起している。


※情報提供、記事執筆:第一ライフ資産運用経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト(グローバルヘッド)田中 理