米小売売上高はインフレを考慮すると強くない結果
5月14日の米国株式市場は、大きな材料がない中で株価が上昇した。この日は米中首脳会談が行われた。経済に影響を与えるような議論はなかった模様だが、トランプ大統領に米国の経営者が同行したことを理由に、関連する企業への期待は高まった模様である。他方、この日に公表された4月の小売売上高は前月比+0.5%となり、市場予想と一致した(Bloomberg調べ)。堅調な結果となったものの、原油高などによって財価格が押し上げられている可能性が高く、実質ベースではそれほど強い結果ではないという見方が広がり、市場に与える影響は限定的だった。25年に成立した大型の減税・歳出法(OBBB法)による税還付拡大の影響が注目されていたが、個人消費のトレンドを大きく変えることはなかったようである。米国の個人消費は、実質賃金の伸び悩みによって労働者層の購買力が低下する中、資産効果に支えられた資産家層の消費意欲次第となっている。金融市場は好調な状態が続いているが、どこまで需要が続くかどうかは不明である。欲しいものがなくなってくれば、資産効果による消費押し上げ効果が弱まってくる(限界消費性向が低下する)可能性もあるため、データの蓄積を待つ必要である。
利上げ観測は高まってきたが、そのことがインフレ予想を抑制
5月14日の米国債券市場は、10年金利が4.5%の節目に近づく中で、大きな動きはなかった。長期金利は前日差+1.3bp、2年金利は同+3.8bpだった。FRB高官から利上げの可能性を示唆する発言が少しずつ増えていることで、市場の利上げ観測が徐々に高まっている。FF金利先物市場が織り込む年内の利上げ回数は約0.51回となり、前日の約0.40回から増加した。他方、利上げが意識されることでインフレ予想(BEI)は低下し、10年BEIは前日差▲0.1bpとなった。4月以降はBEIの上昇が主導して金利が上昇してきたが、利上げが意識されることで株価の上値が重くなるような影響もみられており、金利上昇圧力は弱くなってくるだろう。さらに金利が上がるかどうかは、利上げをしても経済成長やインフレ高進が収まらないという見方が生じるかどうかによる。現状ではそこまで強気の見方が生じていないとみられ、米金利の上昇余地は大きくないと、筆者は予想している。