1946年、アメリカがデンマークに対して「グリーンランド買収」を提案していたという事実は、数十年の間、国家機密として葬り去られてきました。
当時の打診額は1億ドルの金(ゴールド)。しかし、デンマーク側に検討の余地はありませんでした。なぜなら、グリーンランドは「売り物」ではないからです。

それから約70年。かつての機密事項は、ドナルド・トランプ大統領という型破りなリーダーによって、再び世界の表舞台へと引きずり出されました。
トランプ氏は「国家安全保障のためにグリーンランドが必要だ」と公言し、巨大な不動産取引として買収を画策したのです。
一度は立ち消えたかに見えたこの計画ですが、2024年の再選後、彼は再びこの野心を燃え上がらせています。
果たして、北極圏に浮かぶこの氷の島に、適正価格などつけられるのでしょうか。そして、なぜアメリカはこれほどまでにこの地を欲しがるのでしょうか。
ミサイル防衛と「ゴールデン・ドーム」
アメリカがグリーンランドを熱望する最大の理由は、その圧倒的な戦略的価値にあります。
グリーンランドは北極圏に位置し、ロシアからのミサイルの脅威を監視するのに極めて重要な拠点なのです。

現在、アメリカはグリーンランド北部にピツフィク宇宙基地を保有し、宇宙の監視やミサイル探知を行っています。
しかし、トランプ氏の野心はそれだけにとどまりません。彼はこの地に、史上最高のミサイル防衛プログラム、通称「ゴールデン・ドーム」を築くことを目論んでいます。
専門家からは「未確立の技術であり、機能しない」という厳しい声も上がっていますが、トランプ氏にとってグリーンランドは、アメリカ本土、例えばニューヨークへのミサイルを到着前に防ぐための「盾」そのものなのです。
この「守る力」にいくらの値を付けるべきか、それはもはや経済的な妥当性を超えた議論となっています。
