中東情勢の混乱で原油相場が高止まりする現状にあって、米債券投資家は今週予定されているインフレ指標の発表を注視している。

15日で任期満了となるパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の後任に指名され、上院本会議での承認待ちのケビン・ウォーシュ氏の下で、金融当局がどの程度長く政策金利を据え置くことができるのか見極めたい考えだ。

エネルギー海上輸送の要衝ホルムズ海峡で米国とイランの衝突が続き、1カ月余りにわたる停戦が崩れる可能性が危ぶまれる中、債券市場は原油相場に左右されている。米30年債利回りは先週一時5.15%と昨年7月以来の高水準を付けた後、8日には週間ベースで約2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の4.94%で取引を終えた。

2月末に軍事衝突が始まって以降、トレーダーは米利下げを織り込まなくなっただけでなく、ウォーシュ氏が来年に利上げを迫られる可能性も織り込み始めている。金利スワップ市場では、2027年4月までの利上げ実施の確率が約3分の1織り込まれている。

連邦準備制度の当局者の間では、次の一手が利下げにも利上げにもなる可能性があるとの見方が増えている。安定した労働市場と金融環境の緩和を背景に、インフレ統計で高めの数字が出れば、さらなる物価圧力上昇への観測が高まり、金融当局は行動を迫られるリスクがある。

エコノミストは、12日に発表される4月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比3.7%上昇と、2023年以来の高い伸びになると予想している。変動の大きいエネルギーや食品を除くコア指数は2.7%上昇と見込まれ、昨年9月以来の高水準となる見通しだ。

TCWグループの債券運用部門でゼネラリスト・ポートフォリオマネジャーを務めるルーベン・ホヴハニスヤン氏は債券市場について、「インフレ高進の見通しに動かされている」と述べた。

一方でホヴハニスヤン氏は、原油相場主導のインフレは一過性にとどまる可能性が高く、労働市場の減速が年内の利下げ再開を連邦準備制度に促す可能性があるとして、債券相場に強気の見方を示した。

インフレ指標の発表に加え、米3年債と10年債、30年債の入札も11、12、13の各日に予定されており、投資家の需要が試される。

原題:Bond Traders Brace for Inflation Data as Fed’s Powell Era Ends(抜粋)

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